第10章 アルバレス帝国編
第51話 白魔導士
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フェアリーテイルからほど近い女性魔導士専用の寮であるフェアリーヒルズ…。その敷地内のベンチに、ルーシィとグレイ、ハッピーは佇んでいた。3人は少し離れたマグノリアにてバルファルクが暴れまわっているのを遠目で見つめていた。なぜ3人が戦闘に参加していないのか…それはルーシィが抱える一冊の書物が原因であった。ルーシィはその書物を優しく抱きかかえながら涙を漏らす。その書物は、真ん中にぽっかりと大穴が開いているのが見て取れた。
「ナツの命が…こんな一冊の本だなんて…そんなことって…」
ルーシィの言葉に、ハッピーも目尻に涙を浮かべ、グレイも苦悶の表情を見せる。
「ナツだって…普通の男の子なのに…どうして…ッ!」
ルーシィが言葉を紡いだのは、本から無数の赤い文字が溢れ出てきたからであった。
「これって…まさか…」
「すごい量だよ…」
「これが全部…ナツの情報だってのか…」
その文字は、天を突かんばかりに続々と本から流れ出てくる。
「…情報…?」
ルーシィは何かを思いついたように小さく呟く。そんなルーシィの様子を、ハッピーが横目で眺める。
「これ…もしかして…ナツの命の情報を書き換えれば…助けられるんじゃ…」
ルーシィは本の中心に開いた穴を優しく撫でながらそう呟いた。
フェアリーテイルのギルド。そこの酒場には、白い光を放った男が凛とした姿で立ち尽くしていた。そんな男に背を向け、桜髪の少年が金髪の少女を抱いていた。
「っく…。初代…もうだめだ…。消すしかねえ!!」
ナツは、ピクリとも動かないメイビスをゆっくりと床に寝かせ、睨むようにして白い男を見つめる。
「消す?この僕を?」
その白い男は、妖精の心臓を得たことで黒魔導士から白魔導士へと昇華したゼレフの姿であった。メイビスは、ゼレフの発動した八卦解印によって妖精の心臓と分離され、再び死人となったのだ。
「他に誰がいるってんだ!!!」
ナツはそう言い放ち、ゼレフに立ち向かっていく。最大出力で炎を発生させる。それは、いままでの力とは比べ物にならない力であり、正真正銘、イグニールから授かった最後の力であった。圧倒的なまでの魔力は、炎の色を金色に近いものにし、フェアリーテイルのギルドの壁一面事、ゼレフのいた場所を滅却させる。
ナツは、自身の放った炎が収まりを見せるのと同時に、ゆっくりと口を開いた。
「…すまねえ…アレン。お前の友は…俺が殺した…」
ナツはアレンが友だと言ったゼレフをこの手で殺したことを、小さく謝罪して見せた。だが、それでもやらねばならなかった。きっと…アレンも理解してくれる。そんな風に思考を張り巡らさせていたナツであったが、ギルド内に異質な魔力が蔓延るのを察知する。それは徐々に強大になり、なんと先ほどナツが壊したギルドがゆっくりと元に戻っていく。さらに、白き光が一カ所に集ま
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