第10章 アルバレス帝国編
第51話 白魔導士
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目を見開く。それと同時に、アイリーンはふっと笑って見せた。
「な、なにが可笑しい!!」
「…はぁ、ほんとおバカさんね…私の娘は…」
この状況で笑みを浮かべたアイリーンに、エルザが更に激高して口を開く。そんあエルザの様相を物ともせず、アイリーンは冷静に言葉を放った。
「…なるほど、ゼレフから聞いたのか…。どうやら、とんでもない嘘をついたようだな…アイリーン…」
「う、うそ?…」
アレンの言葉に、ウェンディは困惑した様子で小さく呟く。
「さしずめ、エルザが自分を殺すのを躊躇わないように配慮したってところか?」
アレンの言葉に、エルザ達は大きく目を見開く。アイリーンは、アレンの言葉を聞き、視線を地面へと移す。
「さあ…どうかしらね…」
アイリーンの言葉に、エルザ達は更なる動揺を見せる。エルザ達の動揺に加えて、アイリーンのどっちつかずの言葉に、アレンは呆れたように頭を掻いて見せる。
「はぁ…少し考えればわかるだろ…。俺が両親を、友を、恋人を亡くしたのは元の世界での話…。この世界の人間であるアイリーンが、殺せるわけないだろ…」
エルザ達は、アレンの言葉に、大きく目を見開いた。確かにそうであった。冷静に考えれば、その考えに至っていたはずであった。だが、アイリーンの過去と姿。アレンの大切な者を奪ったという話を聞き、そこまで考えが至らなかったのだ。
「人間…ね…。少なくとも、ついさっきまで、400年間私は竜だったわよ…」
アイリーンは自身の過去を思い起こしながらアレンへと言葉を掛けた。だが、そんなアイリーンの言葉を否定するかのように、アレンはふっと笑いかけ、アイリーンの頭を撫でる。
…いつ以来であろうか。他人に、それも男に頭を撫でられるなどという行為は…。
アイリーンは、思わず目を見開いて、小さく赤面して見せる。そして、些少の潤みを見せる目で、アレンの顔をじっと眺める。アレンはそれを受けてか知らずか、くしゃっと笑って見せた。
「お前は人間だ、アイリーン…。そして…エルザの母親だ…」
アレンの言葉に、アイリーンは更に目を見開き、顔をボッと赤らめる。目の前の男は、自身を人間へと戻してくれた男は、自分を人間であると認めている。それが、嬉しくてたまらなかった。
そして、そんな顔を見られまいと、またも地面へと視線を移す。…と同時に、地面に小さな水が…涙が零れる。
「…何よ…ほんと…。はぁ…くそっ…あんたみたいな男が…私の夫だったらよかったのに…」
アイリーンは消え入るような声で、アレンへと言葉を投げかける。アレンはその言葉を聞き、小さく笑って見せると、換装を用いて3つの回復薬を取り出す。そして、それをエルザ達に向けて投げる。
「飲め…身体を動かすくらいには回復するはずだ…」
アレンが投げた回復薬は、エルザ達の前方へと転がり、その動きを止め
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