暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生のダイヤモンド婚式 
第十一幕その一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
                第十一幕  八十年の間に
 ダイアモンド婚式を迎えることになるご夫婦はご主人が八十歳で奥さんが七十九歳です、そのことからです。
 王子も先生のお家でしみじみとして言いました。
「一口に言って長いよね」
「全く以てそうだね」
 先生もこう答えます。
「お二人がお生まれになった時まだ戦時中でね」
「日本が一番大変な時だったね」
「イギリスもそうだったけれどね」
「本当にどうなるかわからない」
「そんなぎりぎりの状況だったよ」
「ものは配給でね」
「イギリスはそれが戦争が終わっても続いたよ」
 先生はこのこともお話しました。
「そう思うとね」
「本当に大変な時代だったね」
「お二人はその頃にね」
「お生まれになって」
「生きてきたんだよ」
「いや、空襲で街も滅茶苦茶になったわ」
 お静さんはこのことをお話しました。
「私は他の妖怪の皆と六甲の山に疎開していてね」
「無事だったんだね」
「そうなの、ただその空襲でね」
 先生にさらにお話しました。
「牛女さんが囲われてたお家から出て」
「六甲にまで行くことになったね」
「そうしたこともあったわ」
「そうだったね」
「そうなったわ、そう思うとあの空襲もね」
 大変なことだったこのこともというのです。
「一つのきっかけになったわ」
「牛女さんにとってはね」
「そうなったわ、けれど戦争前の街並みもね」 
 お静さんは懐かしむお顔でお話しました。
「それでファッションや他の文化もね」
「よかったんだね」
「ええ、先生がお会いした織田作さんの幽霊みたいに」
「着物を着て」
「マントを羽織って帽子を被ってね」
 そうしてというのです。
「靴を履いたりパラソルを持った」
「そんな人がいたね」
「大正の頃とかね」
「日本に西洋文化が入って」
「それが随分ハイカラでね」 
 そうした感じでというのです。
「よかったわ」
「そうだったね」
「それが戦争を経て」
 そうしてというのです。
「終戦直後は色々あってね」
「その時も大変だったね」
「もう食べものがなかったのよ」
 お静さんは先生にこのこともお話しました。
「お二人が物心つくかつかないかのね」
「その頃のことだったね」
「そんな時で闇市とかがあって」
「横流しもだね」
「あって進駐軍の人達も来ていて」
 そうもなっていてというのです。
「かなり独特だったわ」
「その頃もだね」
「そうだったのよ、けれどその混乱も収まって」
「日本は復興してね」
「驚く位に毎日が変わっていったわ」
 そこからはというのです。
「高度成長期って言うけれど」
「その頃に入ってね」
「お二人も結婚されてね」
 そうしてというのです。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ