第三十四話 梅雨が終わればその六
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「北九州は絶対にね」
「住む場所じゃないわね」
「身の為にね」
「そう言うと住む場所って大事ね」
一華はしみじみとして思った。
「大阪とは違うのね」
「大阪は最高の街でしょ」
富美子が言ってきた。
「こんないい街他にないでしょ」
「確かにね」
「そりゃ東京の方が賑わってるけれど」
伊達に人口一千万であり日本の首都ではない、関東圏全体からも人が来てかなりの繁栄を見せている。
「それでもよ」
「大阪の方が何かとね」
「いいでしょ」
「東京は合わないわ」
一華は心から言った。
「本当に」
「そうでしょ」
「ええ、野球は巨人ばかりでね」
「地下鉄迷路だしね」
「大阪みたいにわかりやすくないし」
実は大阪の地下鉄もかなり複雑だが大阪生まれの彼女達にとっては何でもないのだ。生まれた頃から利用していればそうなる。
「あれはないわね」
「寒いしね」
「からっ風でね」
「それで昔は火事多かったし」
「地震もあるしね」
「富士山が噴火したら」
富美子はこの場合のことを話した。
「もうよ」
「この世の終わりみたいになるわね」
「実は噴火するから」
富士山はというのだ。
「江戸時代に噴火してるしね」
「ただの休火山なのね」
「流石に桜島みたいに噴火はしないけれどね」
それでもというのだ。
「噴火はするから」
「それも怖いのね」
「そうよ、東京はね」
「若し富士山が噴火したら日本が大変になるのよね」
留奈も嫌そうに語った。
「そうよね」
「東京だけじゃ済まないのね」
「そう、麓の静岡県や山梨県も大変なことになってね」
「ああ、麓はね」
一華も言われて頷いた。
「当然よね」
「むしろ東京以上に大変でしょ」
「そうなるわね」
「地震にマグマに火山灰で」
そういったものも出てというのだ。
「日本中大変よ」
「そうなるのね」
「天明の飢饉だって」
歴史に残るこれもというのだ。
「浅間山の噴火が大きかったっていうし」
「それが富士山だったら」
「伊達に日本一の山じゃないから」
それだけにというのだ。
「噴火したらね」
「日本全体が大変なことになるのね」
「この世の終わりみたいになるわよ」
「じゃあ絶対に噴火して欲しくないわね」
「ええ、ただ東京は」
留奈もこの街について話した。
「私も住みたくないわね」
「あんたもなの」
「だって寒いからよ」
「さっき言ったけれどからっ風ね」
「それが凄いからよ」
だからだというのだ。
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