第三十四話 梅雨が終わればその三
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「そう言っておられるわね」
「どなたもね」
一華は理虹に答えた。
「そうね」
「そうなのにね」
「その宗教家の人達に見放されるって」
「相当よね」
「まあお世話になってるのにね」
「そこの悪口言ったら」
そんなことをすればとだ、理虹も言った。
「それもずっとだと」
「嫌になってね」
「見放されるわね」
「そうよね」
「というか爪切りの話以外にも聞いてるわよ、私」
富美子は嫌そうな顔で述べた。
「自分の叔父さん、脳梗塞で一回倒れた人にちょっと言われて怒ってね」
「その時どうしたの?」
留奈が応えた。
「一体。碌でもないことになったと思うけれど」
「どついたろかって言ったそうよ」
「自分の叔父さんに?」
「そうよ」
「しかも脳梗塞になった人に」
脳梗塞は下手をすれば命を落とす、そして助かっても身体の動きが非常に悪くなる。そうした恐ろしいものなのだ。
「そう言ったの」
「そう聞いてるわ」
「つくづく最低な人ね」
かな恵は呆れた声で言った。
「ちょっと言われた位でなの」
「何か他の家がいいなとか言って」
「それでその人何か言ったの」
「自分の家もいいとか言って」
そしてとだ、富美子は話した。
「叔父さんがその人にそういう自分はどうかって言われたら」
「怒ってなの」
「どついたろかってね」
関西弁で殴ってやろうかという意味である、言うまでもなく非常に粗暴で下品な言葉で自分の叔父しかも身体障害者の人に使う言葉ではない。
「言ったそうよ」
「爪切りに仕組みに文句言うのも酷いけれど」
「この話も酷いでしょ」
「本当に最低なのね」
「しかも借りたお金は返さなくてね」
留奈も話した。
「このこともお母さんから聞いたけれど」
「それでサラ金からも借りて」
「人に迷惑もかけてるし」
「本当に何処が偉いのか」
かな恵は心から不思議に思った。
「わからないわね」
「そうよね」
「それでそう思えるなら凄いわ」
自分が偉いと、というのだ。
「私だったらそんな行い全部したら恥ずかしくて死ぬわ」
「私もよ」
一華も顔を顰めさせて言った。
「屑もいいところじゃない」
「そうよね、もうどうしようもないわね」
理虹も言った。
「そんな人は」
「いや、それでも自分がこの世で一番偉いとか」
富美子は心から思って言った。
「ちょっとは鏡見ろって言いたいわね」
「そんな人になったらおしまいよ」
留奈は確信して述べた。
「絶対に幸せになれないわ」
「そんな人誰も見捨てるし何も出来ないからね」
一華はこう留奈に応えた。
「だったらね」
「絶対にそんな人になりたくないわね」
「なったら恥ずかしいしね」
一華は留奈に応えた。
「もう」
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