第10章 アルバレス帝国編
第49話 緋色の絶望
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だ。
だが、姿だけでも人間へと戻れたことで、アイリーンはエルザを出産することができた。それが、今から20年程前の出来事。400年の時を経て、アイリーンはエルザを出産したのだ。
…アイリーンの話を聞き、エルザ達は開いた口を閉じることができなかった。それほどの衝撃であったのだ。だが、その後に続くアイリーンの話に、更なる驚きを見せることになる。
アイリーンは、出産した我が子、エルザに人格を付加させようと考えたのだ。そうすれば、人間の姿を取り戻すことができる。だが…。
「失敗だったよ…人格の付加など不可能だった…」
アイリーンの失望したような口調に、エルザ達は目を細めて聞きいる。
「だから、興味もなくなってな…名も知らぬ村の片隅に捨ててきたわ…」
「…それが、ローズマリー村…」
エルザは、アイリーンの言葉を噛みしめながら口を開いた。
「くっ…自分の子どもになんてことを…」
「お前はそれでもエルザの…ッ!」
ウェンディは涙を浮かべながら、ジェラールは激高しながらアイリーンに言葉を浴びせる。だが、そんな2人の言葉を、エルザは片手を掲げて制止する。
「生んでくれたことには…素直に感謝しよう」
「いらないわ…ゴミの感謝なんて…」
エルザの小さい呟きに、アイリーンはため息をつくようにして言葉を発した。
「…そして、私を捨ててくれたことにもな…」
「なんだと?」
エルザの言葉に、アイリーンは怪訝な様子を見せる。エルザはその言葉を皮切りに、再度鎧と剣を換装する。そして、その剣をアイリーンへと向けながら答えた。
「…貴様が私を捨ててくれたおかげで、私はかけがえのない仲間に、アレンに出会うことができた!!」
エルザは威厳のある言葉でそう答えると、アイリーンへと向かって剣を振り下ろした。
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