第10章 アルバレス帝国編
第49話 緋色の絶望
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酷く狼狽する。そして、怒りで身を震わせるようにして歯をギリッと噛みしめる。
「えっ!エルザさんのおかあさ…」「違うっ!!!」
「…エルザ…」
アイリーンの言葉に、ウェンディが驚いたように声を上げたが、強烈な怒号をもってエルザがそれを否定する。そして、そんなエルザの心境を察したようにジェラールが小さく呟く。
エルザは、小さき頃の記憶を思い出しながら小さく呟いた。
「私は…ローズマリーで…一人だった…ずっと、親などいないものだと思っていた」
「その親が、目の前にいる私よ…全く、アレンは一瞬で見抜いたわよ…さすがというべきね」
アイリーンから発せられた『アレン』という言葉に反応するように、エルザは再度歯をギリッと鳴らす。そして、ゆっくりと目を閉じ、歯に込めた力を抜くのと同時に、ゆっくりと目を開いた。
「私が親と呼べるのは…生涯アレンとマスターの2人だけだ!!」
その言葉に、アイリーンがゆっくりと目を細めるが、それをすぐにやめ、呆れた様子を見せる。
「ま、構わないわ…私も娘がいるとか、本当はどうでもいいから…もうとっくに死んでると思ってたのよ…」
アイリーンの言葉に、エルザだけでなく、ウェンディとジェラールも怪訝な様子を見せる。
「でも、アレンが救い、マカロフが育て、こうして巡り合うとは…数奇なことよの…エルザ・ベルセリオン…」
アイリーンは自身の姓を当てはめてエルザに言い放つ。その言葉を聞いて、エルザはこれまでにない怒りを露にする。
「私はエルザ・『スカーレット』だっ!!アレンから授かった名だ!!!」
「へえ、アレンがあなたに姓を与えたの?ふふっ…傲慢なことよの…」
エルザはその言葉に、再度歯に力を入れ、ギリッと音を鳴らす。
「アレンの…フェアリーテイルを侮辱するものは、誰であろうと敵でしかない!」
「うむ…我がアルバレス帝国に歯向かう者も敵としか見ておらん…例え我が子だとしてもな」
そうして、2人の間に暫くの沈黙が流れる。
「だが…自らの出生の秘密も知らずに死んでいくのは…不憫よのー…」
その言葉に、エルザの視線がアイリーンの露になっている腹へと移る。そこには、左腹に縦の裂傷が見られた。
「秘密…だと?」
「必要ない…」
ジェラールが怪訝な様子で聞き返すが、エルザがそれを止めるようにして言葉を発する。
「そういうな…お前と私の過去には…アレンも関係している…」
アイリーンの言葉に、エルザ達は大きく目を見開く。エルザは自身の出生と知られざる過去に、アレンが関わっていると聞いて驚きを隠せなかった。ウェンディとジェラールも、その言葉に、酷く驚いている様子であった。
「少しは聞く気になったか?…」
「…話してみろ…」
アイリーンの不敵な笑みを零しながらの言葉に、エルザは小さく呟く。そして、アイリーンは一つため息を
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