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レーヴァティン
第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその十一

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「魔神の行いにはです」
「悪意を感じますね」
「世界に対しての」
「あえてこの二つの浮島だけにするとは」
「何かです」
「おかしな思惑を感じますね」
「そしてその思惑がです」
 それがというのだ。
「悪意を感じられるものですね」
「おんな気がしますね」
「魔神といいましても」
 それでもというのだ。
「邪なものがあるとなると」
「魔神と言ってもかなり悪質ですね」
「そうした存在ですね」
「グリモワールを見ますと」
 源三はここで西洋の魔術において非常に重要な位置にあるこの書の名前を出した、レメゲトンとも呼ばれている。
「七十二の魔神がいますが」
「キリスト教で魔王とも呼ばれる存在ですね」 
 良太もこう返した。
「そうですね」
「はい、彼等はよく見ますと」
「その性質や能力は」
「邪悪ではないです」
「そうですね、確かに」
「そしてです」
 源三はさらに話した。
「失楽園の敗れた者達も」
「サタンに従ってですね」
「その彼等もです」
 尚グリモワールには失楽園に出て来た天使、堕天使達もかなり入っている。ベリアル等がそれである。
「読みますと」
「決して邪悪ではないですね」
「サタンも含めて」
「むしろ一途で勇敢で」
「そして責任感もある」
「そうした存在ですね」
「悪とは感じません」
 ミルトンの失楽園に出ている彼等もというのだ。
「決して」
「そしてグリモワールの魔神達も」
「悪意はほぼありません」
「ただ神に逆らっているだけであり」
「それで悪とされているだけで」
「人や世界に害を為すか」
「そうは思えないですね」
 源三は良太に話した。
「決して」
「左様ですね」
「悪魔とは何ぞやと言われると」
 即ち悪とは何かというと、というのだ。
「神に歯向かう愚か者である」
「それでその通りとなりますね」
「何故なら神が正義である」
「それも絶対の」
 良太も言った。
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