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レーヴァティン
第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその九

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「まさにな」
「そうでござるな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺達もだ」
「若し海の魔神があまりにも強大で」
「俺達が束になっても敵わないならな」
「知恵を使うでありますな」
「そうして戦ってな」
 そのうえでというのだ。
「勝つ」
「そうするだけでござるな」
「そうだ、また言うがな」
「無敵の存在はいないでござる」
「強大な存在はある」
 こちらはというのだ。
「確かにな」
「神も然りでござる」
「だがその神もだ」
「敗れるものでござる」
「少なくとも俺達の考えはそうだな」
「どうも海の魔神はイスラム教のアッラーとは違うでござる」
 智はこの宗教の話もした。
「アッラーとは」
「イスラム教はユダヤ教、キリスト教と同じだがな」
「その神は」
「一神教でだ」 
 この三つの宗教の特徴である、ヘブライの地の過酷な自然環境が迷うことを許さず唯一の神への信仰を形成したという。
「ユダヤ教でもキリスト教でも神は絶対だが」
「イスラム教はその二つの宗教よりもでござる」
「そうだ、神は絶対だ」
「それだけの力を持っているでござる」
「そうなっている」
 正も言った。
「イスラム教ではな」
「この世の全てはアッラーが司っている」
「バハムートですらだ」 
 世界をその額に乗せている巨大魚ですらというのだ。
「アッラーにはだ」
「遥かに及ばないどころかでござる」
「実に小さいものだ」
「それがアッラーでござる」
「そうだ、しかしこの世界はイスラム教も存在している様だが」
「石になった世界に」
「だがな」
「イスラムだけの世界ではないでござる」
「アッラーは存在しているが」
 イスラム教が存在しているのならそうなる、世界はそれぞれの宗教観だけ存在しているものだ。精神世界の数はそうしたものである。
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