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絶撃の浜風
外伝 Tesoro italiano 〜イタリアの至宝〜 01 イタリアの至宝
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(2020年3月20日 執筆)
 







T ザラの憂鬱


 





ザラ級重巡ネームシップ、ザラ


 彼女は、数いる重巡艦娘の中で、頭ひとつ抜きんでた存在である

 戦艦並みの分厚い装甲に、これまた戦艦並みの長射程主砲、優れた索敵能力・・・・・


 そのザラが、第二改装を受けてはや半年。その本領を存分に発揮していた。ザラ以外では制圧出来ない海域も、南西諸島海域の沖ノ島沖に一部存在する程で、今や某鎮守府重巡陣の主要な一角を占めていた





そして時は皇紀2741年



 ザラが妹のポーラと共に日本の某鎮守府に配属されてから既に三年もの歳月が流れていた









そしてとある日の射撃演習場にて



 ザラから発進した38式Ro.43水上偵察機serie2が、20cm級のターゲットの、更に奥に設置されたターゲットを補足。そして程なくして水平線の遙か向こう、14inch級の的(設定距離25km)に一発の203mm砲弾が飛来し右20mに着弾、水柱を上げる



「だんちゃーく今! 修正、方位左0.79、射角698.11」



偵察機からの弾着観測結果を受け、ザラは瞬時に弾道の再計算に入る



そして・・・・



「・・・・Fuoco!!」



「ドーーーーーーーーーーーーン!!!!」




 再び放たれたその砲弾は、高い放物線を描き・・・・・今度は14inch級のターゲットに直撃した



「だんちゃーく今! 命中!」








「うわ、マジですか!」



実況モニターを見て声を上げたのは青葉だった。そして・・・



「さすがですね、あの的に当てられるなんて。しかも弾着観測後の一発目とか、凄すぎです」



 隣で射撃訓練をしていた衣笠が溜息をつきながら、ザラが打ち出す弾道を目で追っていた


 そう、ザラの本領はその長射程というよりは、類い希なる射撃の命中精度にあった。艦隊演習時における第二改修後のザラは、有効射程距離内であれば、弾着観測直後の命中率はおおよそ63%・・・・・・3射中2発の確率で命中させる事が可能という、規格外の怪物と化していた


「いや、それもそうだけど・・・ザラさんて、交互打ち方で散布界を追い込むやり方はしないんですね・・・むしろそちらの方が驚きです」


衣笠の、正直な感想だった


「ですよね! 照準射撃に絶対の自信がなければ不可能です! てゆうか、歴史上こんな打ち方が出来るのはザラさんだけですよきっと」


いささか興奮気味の青葉とは裏腹に、少し困ったように
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