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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ランシール
巷ではこれをデートと呼ぶ
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く。
「俺が勇者のユウリだ。俺が魔王を倒すために故郷であるアリアハンを出たのはおよそ半年前のことだ。アリアハンから勇者が旅立つという噂はこの大陸にも広まっていると思うが、その噂を広めた理由は、レベル三十を超えた俺一人では、魔王を倒せる可能性は低いと判断したからだ。だから仲間を募るためにあえて世界中に勇者の存在を広めたんだ。しかし、それでも俺は現状に甘んじることは考えなかった。いくらレベル三十を超えていても、今のままでは魔王には勝てないと思ったからだ。そんな中、旅の途中でこの町にある地球のへその存在を知った。地球のへそは、今まで最深部まで到達した者は誰一人いないという。まあ、レベル三十を超えた俺にとっては大したことのない試練の場だったがな」
 あ、これは大分話が長くなりそうなやつだ。ていうか、どれだけ自分がレベル三十を超えていることをアピールすれば気が済むのだろうか。
「俺がここにやってきたのも、この由緒ある修行場に行けば自身の成長に繋がると考えたからだ。魔王が復活して間もない頃と比べて、今この世界に蔓延る魔物の数は急激に増えている。それに対し、俺たちのような魔物を倒せる冒険者たちの数は昔よりはるかに激減している。なぜなら、地球のへそのように冒険者を成長させる場がないからだ。この修行場は俺だけでなく、共に戦う仲間、さらには各地の冒険者たちにとっても、最適な場所だと考えられる」
「なるほど、それでわが神殿へとお越しいただいたのですね。それで……」
「まだ話の途中だ。この修行場は、もっと世界中の人々に知ってもらいたい。冒険者だけではなく、一般の人にもこの厳しさ、過酷さを知れば、魔王と言う存在がどれだけ脅威なのかがわかるはずだ」
「ええ、はい。そうですね、ところでユウリさん、今回の証については……」
「聞けば、遥か昔には冒険者ではなく、僧侶の修行場として使われていたそうだな。今ではその歴史すら知らない若者もいると聞いた。今一度この歴史ある神殿の存在意義を改めて知るべきだと俺は思う。存在意義といえば、この世界における魔物と言うのは……」
 なんだかどんどん話があらぬ方向に行っている気がする。エドガンさんも口を挟む余裕がないのか、熱弁しているユウリの横でひたすら困惑した表情を浮かべている。
 けれどユウリの話が気になるのか、周囲の人々は彼に注目し、皆真剣に耳を傾けている。中には彼の姿を見て目をハートマークにしている女性もちらほらいた。
 こうなると、ちょっとやそっとじゃ話は終わらないだろう。話が終わる間、どこか別の屋台で時間を潰そうかと思ったときだ。
 ドンッ!!
 誰かに後ろからぶつかられ、私は思わず前によろめいた。
「いたた……」
 背中をさすりながら後ろを振り向くが、誰もいない。どういうことだろうと辺りを見回すが、別に変わったところはな
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