(壱)長い夜
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と輝き、まるで天使の羽根を閉じるかのように加持の胸元にふわりと降り注いだ
《・・・・・加持さん・・・・・》
《・・・・まいったな・・・・これは逃げられそうにない・・・・》
今宵のアスカは、いつにもまして美しかった。加持への恋心が、ほんの13才の少女をひとりの女へと背伸びさせていた・・・・
瞳の碧が、心なしか潤んでいるように思えた・・・・この娘にこんな風に迫られて、堕ちない男なんて世界中を捜したっていないとさえ思える・・・
もし、あの忌まわしい“事件”がなかったら・・・・・このあどけない、とびきりチャーミングな少女の誘惑に抗えなかったかも知れない・・・・
《・・・いや、それはないな・・・それなら今頃アイツと安アパートで暮らしてるさ・・・多分、子供と一緒にな・・・・・》
突然、水を浴びせられたように正気に戻る・・・・アイツの、ふてくされた顔が目に浮かんだ・・・・思わず噴出しそうになるのを堪えて、アスカに言った。
『・・・腹・・・・空かないか?・・・』
肩透かしを食らわせる加持。憤りのあまり、アスカの顔が見る見る赤くなってゆく
『・・・・もう!!!・・・加持さんてばぁ!ちゃんとアタシの方を見てよっ!!・・・アタシもう13才なのよ!』
《・・・・やっぱり・・・まだ子供だな・・・・》
心の中で呟いたつもりだったが、顔に出ていた
『オトナよっ!!・・・・・・・もう加持さんの望む事だって・・・・その先だって・・・・・出来るんだから・・・』
恥ずかしさのあまり、アスカは加持と目線を合わせられなかった。頬を赤く染め、少し口ごもりながらも大胆な求愛を試みる
そんなアスカを加持はいとおしいと思う。
彼にしてみれば、アスカはかわいい妹か娘のようなものだった。それだけに、自分のような男に関わって欲しくなかった
『・・・・それは、アスカにとって一番大事な人のためにとって置くんだな・・・』
《・・・・加持さん・・・・アタシの気持ち、全然わかってない・・》
アスカは急に悲しくなった。アスカにとって、一番大切な人は加持に他ならなかった。
例え想いを添い遂げられなかったとしても、初めての人は加持・・・
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