(壱)長い夜
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アスカは自分を信頼しなついてくれている・・・・
自分の行動の顛末は、そう遠くない将来においてアスカを裏切り、傷つけるとわかっている・・・・・それでも、加持は自分を止められなかった
《・・・もうすぐ日本に着く・・・・・・葛城・・・・・・俺は・・・・・》
かつて恋人と呼んだその女性の顔が目に浮かびかけた・・・
ふと、目の前が暗くなる
目の前の月に浮かんでいた微笑が、“あどけない天使”へと変わる。
暗闇の中で、二つのアクアマリンの宝石がきらきらと輝く・・・・鼻先がつきそうな位に近づき、甘い吐息が口元をくすぐる・・・・
不覚にも、加持はドキリとする
『・・・無視されるなんていや・・・・お願い・・・アタシを・・・見て・・・』
アスカは瞳を潤ませ、加持を見つめていた・・・
『・・・アスカ・・・・』
一瞬言葉を失う
ほんの少しだけ顔を赤らめながら、加持は目をそらす。暗がりが、加持の顔色の変化を覆い隠していた・・・
《・・・子供だとばかり思っていた・・・・・いつのまにか・・・・・》
もう立派なレディだなと加持は思う
『・・・・向こうに着けば、すぐに新しい友達が出来るさ・・・サード・チルドレンは、男の子だそうだからな・・・』
仰向けになって加持は話題を変えた。アスカの、あまりにもストレートな想いが眩しかった。
《・・・・似ているな・・・・・・アイツに・・・・》
アスカを見つめるその瞳はこの上もなく優しげだったが、それはアスカではなく、その向こう側にいる誰かを見ているようだった
アスカには、その瞳に何が映っているのか・・・・なんとなく想像がついていた。
《・・・あの女ね・・・・生き方・・・わざとらしい、アイツ!》
でも、それは口にできなかった・・・・もし違っていたら・・・・もし口にすれば、加持はあの女の事を思い出す・・・・それだけは絶対にイヤだった
『・・・・同じ年頃の男の子なんでまだ子供だもの・・・・・・私が好きなのは・・・・・・・・加持さんだけよ・・・』
そう言うとアスカはデッキに横たわる加持の傍に寄り添い・・・・・・・そして、一見着痩せして見えるがその実厚い彼の胸板にそっとその身を重ねる
月明かりに照らされたアスカのブロンドの髪がきらきら
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