(壱)長い夜
[5/10]
[1]次 [9]前 最後 最初
《・・・考えてみれば、俺の人生は裏切りの連続だったような気がするな・・・・いや・・・今も、そうか・・・・》
特務機関ネルフ 特殊観察部所属 加持リョウジ・・・・同時に日本政府内務省 調査部所属 加持リョウジ・・・・・そして、ある人物を監視する為にゼーレの密命を受けネルフに送り込まれた彼は、3つの立場を揺れ動く三重スパイであった・・・・
彼が“動く”という事は、いずれかの組織の密命を受けている事を意味し、同時にそれは他の二つの組織を裏切っている事でもある
・・・・・・そして今回の船旅は、彼にとってもう二度と後戻りする事の出来ない所へ“踏み出した”危険な片道航路だった
《・・・贖罪・・・・・真実・・・・・・俺は・・・・本当にこれでよかったのか?》
迷いは、捨てたはずだった。
なのに、日本に近づくにつれてアイツの事ばかり頭に浮かぶ・・・
決意が・・・揺らぐ
アイツと暮らした日々・・・・薄汚れた自分の人生の中で、そこだけが輝いていた
『・・・もう一度・・・・』
一瞬そんなことを考えて、すぐに打ち消す
そんな事は、アイツと暮らしている時に何度も考えた事だ
どんなに激しく求め合っても、どんなに忘れようとしても、忘れる事が出来ない・・・・
事が済み、疲れ果てて自分の腕の中で寝息を立てるアイツ・・・・そんな幸せの中にあっても、ふと気がつけば、枕元に立っている亡霊が自分を睨んでいるような気がする・・・・
”兄ちゃん・・・・どうして僕たちを売ったの?”
『・・・・すまない・・・』
・・・・何も・・・・・言い返せなかった・・・・・
その朝、加持は彼女のアパートから姿を消した
そして、他の女を手当たり次第に口説き、そして快楽に溺れるままに抱いた
・・・・・アイツを忘れるために・・・・
・・・・・嫌われる・・・ために・・・・
《・・・・・俺は・・・幸せになってはいけない人間なんだ・・・・》
この日を境に加持はある“決意”をし、自らを死地へと追い込んでゆく事になる・・・・
アスカに近づき、お目付役の任に就いたのもこの日の為に他ならなかった・・・・だがそんな事とは知らず、
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ