(壱)長い夜
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アスカ、再び <noch einmal von vorne anfangen.>
――――――ホテルのロビーのような広い部屋に、黒服にサングラスの男が一人きり・・・・受話器を手に、何者かと通話していた
『・・・そうだ・・・その問題に関しては既に委員会と政府に話はつけてある。計画のメドは、君の持つアダム如何による・・・・・・ああ、全ては予定通りだ・・・・』
(壱)長い夜
――――――南シナ海にて。月明かりに照らされた太平洋艦隊が、静まり返った夜の海をゆっくりとすべってゆく。
『あ〜あ、つまんない。もう三ヶ月も船で揺られてるんだもの。退屈で死にそうだわっ』
ニミッツ級と思しき大型空母のデッキの上に仰向けになりながら、彼女、惣流・アスカ・ラングレーはこぼしていた。
彼女は、マルドゥック機関が選んだ二番目の適格者、エヴァンゲリオン弐号機パイロット、セカンド・チルドレンだった。
ドイツで竣工した初の正式タイプ(プロダクションモデル)である弐号機の日本での就役が決定したのは今から4カ月前の事。
次々と襲来する使徒に対抗するための戦力補強・・・・・・・というのがネルフ・・・・いや、碇ゲンドウの委員会に対する要請であったが、それは付随的な要因に過ぎず、真の目的は他にあった
いずれにせよ、エヴァ搬送をパイロット抜きで行うわけにはいかなかったため、彼女もドイツから長旅に付き合わされる羽目なっていたのだが、もうウンザリといった様子だった。
ヴィルヘルムスハーフェンを出港する時も
『ずえ――――――――ったいに飛行機で行くっ!!』
と言い張っていたのだが、加持が弐号機搬送に随伴すると聞き、渋々了承したのだった
実際、長期の船旅というものは実に退屈なものである。目新しいのはせいぜい初日だけで、2〜3日もすると海ばかりの景色にうんざりさせられる。
アスカのような跳ねっ返りには、とても耐えられるものではなかった
『食べ物も飽きたし、シャワーも一日一回しか浴びれないんだもの・・・・もうサイアクっ!』
出航直前に継母に持たされた山のようなおやつが唯一の楽しみだったのだが、それもとうに底をついていた
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