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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第79話 第四一回帰還事業団統括会議
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多すぎてどうしようもない。因縁付けのヤクザのような集団が居るのも確かだ。だが数は当然ながら一番多い。

 取りまとめ役であるはずの地域社会開発委員会はあまりやる気がない。財源も権限も基本的にはトンネルだ。亡命行政府を連邦政府の下部組織にするわけにはいかない(地方自治の原則)為の方便として委員会がつかわれているに過ぎない。

 エル=ファシルの脱出時、ヤンはある意味では強権を振りかざした。惑星緊急事態法に基づくとはいえ、軍による行政府と住民の統制を行ったわけだ。勿論帝国軍の侵攻という非常事態下にあって、しかも防衛戦力が逃亡する状況。誰もが誰かに責任を押し付けたいという気持ちが、ヤンに向けて非難や批判の集中砲火を浴びせつつも、その指示には従って協力もした。

 だが現在、エル=ファシル行政府も住民も安全なハイネセンにあり、生活の一切を中央政府が面倒見てくれている。生活に安全と余裕がある状況下で、統制などできようはずもない。それぞれが自己の利益の最大化を図るのは自然の流れだ。付けられた予算と今後付けられるであろう予算に対する背中からの食指が、あらゆるところから動き出している。エル=ファシル失陥から既に一年が過ぎ、奪回もなしえているにもかかわらず、帰還事業は遅々として進んでいない。

「近寄りたくもない混沌じゃないですか。そんなところに脛に瑕を持つ軍がノコノコと顔を出せば、ろくなことにならないのは子供でも分かる話でしょう?」
「そういうことはそんな微妙な時期に、エル・ファシル住民帰還事業の援護を名目に加えた出兵を行う艦隊司令官に是非言ってやってくれないか?」
「……」
「それとも第八艦隊がエル=ファシルからダゴンに打通してくれるか? 第四四高速機動集団としては大歓迎だ。是非ともそうしてくれ。代わりにカプチェランカの帝国軍基地も吹っ飛ばしてやるよ。惑星ごと熱核兵器で木っ端微塵にしてもいいならな」

 言葉悪くヤンに当たっても仕方ないことだが、実際のところ奪回した第四四高速機動集団より、英雄のいる第八艦隊のほうが凱旋航行にはふさわしいと帰還事業の人間は考えるだろう。別に第八艦隊でなくとも、同行者にヤンが居れば喜んで協力する。そこまで分かっているだけに俺に出汁に使われ、一年前の狂騒が再び起こると、ヤンも警戒している。

 だが今回は軍事的な面からも第八艦隊はエルゴン星域からの突入が求められる。参謀長を初めとして両手に余る参謀集団の中の一人であるとしても、ヤンを人身御供とするのをシトレは嫌がるだろう。だが現実にシトレによって迷惑をこうむる羽目になっているのは、第四四高速機動集団の、具体的には俺だ。

「よし。ヤン。約束しよう」
 ヤンと俺の口論が、部隊同士の対立となり、ひいてはシトレと爺様の間の対立になることは避けたい。シトレは俺がヤンを
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