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冥王来訪
第二部 1978年
狙われた天才科学者
百鬼夜行 その3
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私の方で5年ほど前より、日米欧の著名人や新進気鋭の官僚を集めた勉強会を主催しております。
俗にいう、『三極委員会』の集いを通じて、多少は日本との縁が御座います」
と言い切った。
「もし今の言葉に偽りがないならば、君にいかなる計画があるのだ。良ければ聞かしてもらいたいが」
「それならば私が常より日本に近づいて、表面上甘い言葉で彼等と関係しているのは、何を隠そう、隙もあれば日本そのものを我が手にしようと内心誓っているからです」
と臆面も無く言った。
「不肖ながら私におまかせ頂ければ、木原が秘密を暴き、白日の下に晒して御覧に入れましょう」
老人は、副大統領の弟の言葉に非常に満足し、会議に参加する人々もまた安堵感から喜色を(みなぎ)らした。

 彼等は、ハイヴ攻略の経緯を記した秘密報告書からゼオライマーの特殊機構に注目した。
 原子力を超えるエネルギーを集めるシステムは、木原マサキが開発した。
それ以上の詳しい情報は入手されておらず、不明な点も多い謎のマシン、ゼオライマー。
ただ間違いなく言えることは、このシステムに関して詳しく知っているのは、世界では木原マサキただ一人。
木原マサキの去就が、衆目(しゅうもく)を集めるのには、然程時間が掛からなかった。

 遠くに臨むエンパイヤ・ステート・ビルを眺めながら、老人は満足気に呟いた。
「費用はどれ程かかっても構わぬ。何としても彼を我等の側に引き込みたい……。
早速、調略にかかりなさい」
円卓に座る面々は、男の言葉に相槌を打つ。
「分かりました」



 翌日、男は動いた。
早朝の時間にニューヨークのJFK空港に行くと、そこから大阪国際空港行きの便に持つものも持たず、乗り込んだ。
大阪に着くや否や、京都市内に住まう日本有数の財閥である大空寺財閥の総帥、大空寺(だいくうじ)真龍(まりゅう)の元に急いだ。

 ふらりと京都の大空寺財閥を訪ねると、奥にある総帥室まで乗り込む。
「久しいのう、大空寺殿よ」
突然の来訪に驚いた大空寺真龍は、酷く狼狽した様子で男の事を見るや、
「なあ、会長職を()(ちゃ)って、はるばる儂の所に来たと言う事は、例の木原と言う小童(こわっぱ)をどうにかしろと言う事かね」と訊ねる。
2メートル以上もある身丈の体を、革張りのソファーに預けた。

男は改まったかのように、
「話が早い。では、ここは一つ、汗を掻いてくれぬかね」と訊ねる。
浅黒い顔に呆れた表情を浮かべる大空寺は、
「儂に御剣(みつるぎ)雷電(らいでん)公と連絡を取れと……、あのお方は殿上人(でんじょうびと)ぞ。そう軽々にお会いできる立場ではない」
と、金色の髪を撫でつけながら、男の話を聞き入り、
「だが、わざわざマンハッタンより来た貴様の頼みだ。御剣公には取り計ら
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