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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ランシール
史上初の到達者
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物らしい。
 ユウリは白い麻のシャツに黒のベスト、下は茶色のズボンに揃いのブーツ。対する私はカーキ色のワンピースに茶色のブーツを身に付けている。こういう服は実家にいたとき以来なので、なんだか懐かしく感じる。
 お風呂に入ったあと、エドガンさんお手製の手料理をご馳走になり、お腹いっぱい大満足の余韻に浸っていたところだった。
「ええ。昨日ユウリさんとこの町の今後について色々とアドバイスを受けて考えたんです。せっかくユウリさんが地球のへそを踏破されたのだから、記念にお祭りを開こうと思いまして」
 そう嬉々とした声で話しているのはへそにゃんだ。その横では、エドガンさんもにこにこしながらこの話を聞いている。
「今朝ワーグナー……いや、へそにゃんに話を聞きましてな、私もその案には賛成しまして、今夜盛大に開こうと思っているのです。なので、早速今朝早くから準備をしていたところなんですよ」
 なんかさらっとへそにゃんの本名が出てきた気がするが、口を出した方がいいのだろうか。
 なんて考えてる間に、ユウリが話を進めた。
「準備をするにしても、随分と急だな。観光客を呼び込むなら、早めに近隣の町にも宣伝をした方がいいだろ」
「ええ。ですので、是非お二人にも手伝って頂きたいと思いまして……。もちろん報酬は払いますよ。ここの宿泊代と、食事代、入浴料でどうでしょう?」
「ジジイ……。抜け目ないな」
 苦虫を噛み潰したような顔をするユウリ。道理でサービスがいいと思ったが、そういう考えがあったとは。
「実は今、急いでチラシを作ったんです。これを近隣の町に配って頂けませんか?」
 へそにゃんが手にしていたのは、大量に羊皮紙に書かれた今回のイベントについての宣伝チラシだ。随分奮発したなあと思ったが、もともとこの神殿には書物を書いたり伝聞を書き起こしたりするために、沢山の紙が残っているそうだ。そんな大事な紙をチラシに使うのもどうかと思ったが、生活できなくなるくらいなら、紙くらい消費しても構わないという考えなのだろう。
「徒歩では時間がかかりますので、キメラの翼を使います。町については、へそにゃんが知っていますので、彼にも同行してもらいます」
 ルーラの呪文と同じ効果を持つキメラの翼は、使用者が対象となる場所を把握していないと行けないので、地元に詳しいへそにゃんに使ってもらうようだ。それに私たちもついていって、皆でチラシを配る、という流れだ。
「それにこのイベントの立役者はユウリさんですからね。本人が触れ回った方が信憑性もあるし、皆食いつきますよ」
「客寄せスライムか、俺は」
 憮然とした顔でユウリは口を挟むが、本人は満更でもない様子であった。ふとロマリアでの王様姿のユウリを思い出し、こういう形で目立つのは嫌いではないのだろうと察した。
「ユウリさんにはお祭りが
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