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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第四十九話 第五次イゼルローン要塞攻略戦(前)
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宇宙暦792年11月20日12:00
イゼルローン回廊、イゼルローン要塞近傍、自由惑星同盟軍、第八艦隊、総旗艦ヘクトル、宇宙艦隊司令部 ヤン・ウェンリー

 敵は三万一千隻、それに対し味方は第四、第五、第十の三個艦隊、三万七千五百隻が対峙している。この三個艦隊の後ろにいる我々第八艦隊の役目は予備、それと要塞主砲に対する陽動と牽制だ。
校長…司令長官代理は、艦隊戦に関しては三個艦隊の内の先任司令官であるグリーンヒル中将に一任するようだ。確かに艦隊戦と要塞攻略戦の指揮は同時には行えない。しかしイゼルローン要塞を攻める場合、駐留艦隊の存在を無視出来ないから、この二つを同時に行わなくてはならない。なぜなら帝国軍はこちらを要塞主砲の射程に引きずり込もうとするからだ。だから艦隊戦そのものもイゼルローン要塞の至近の宙域で行われるから、要塞の戦力も無視出来ない。要塞または駐留艦隊を牽制しつつ、艦隊または要塞を攻撃しなくてはならない。至難の業だ。
ウィンチェスター中佐の立てた作戦案は良くできていた。駐留艦隊に対峙するチームと、要塞を牽制するチームに分けたのだ。

“大威力の要塞主砲とて一度に全方位を指向出来る訳ではありません”

確かにそうだ。誰かが要塞の動向を見張っていれば、他の者は駐留艦隊の撃破に専念できる。何故気づかなかったのか。いや、気付いてはいた。それを一人の指揮官が統制しようとした所に問題があったのだ。

“確かにイゼルローン要塞は難攻です。しかし不落ではありません。やり方を間違えなければ必ず落とせます。だから十二個艦隊を動員するのです。第二陣が控えていると思えば、イゼルローン攻略部隊も安心して戦えます”

決戦、という訳か。大兵力で一気呵成に攻める。戦力の集中は基本中の基本だ。

「四個艦隊で駄目な時は待機中の残りの艦隊すべてを増援として呼びます」

よく考えている。しかし余りに大きい賭けではある…私ならどうするだろうか…。

「まあ、大丈夫でしょう。味方がきちんと命令を守れば」



 戦況概略図をずっと見つめていたウィンチェスターがふとこちらを向いた。シトレ校長に会釈すると、こちらに歩み寄って来た。
「ヤン中佐。考え事ですか?」
「何もする事がないな、と思ってね。ウィンチェスター」
「まあ、戦闘中の次席副官の立場ですとそこまで忙しい訳じゃないですからね。そのうちこの艦隊にも出番が来ますから、何もする事がないのも今の内だけです。前衛の三個艦隊を見守ろうじゃありませんか」
「その前衛艦隊は大丈夫かな。彼我の兵力差は微妙だが…」
「なぜあの三個艦隊を選んだと思います?先任のグリーンヒル提督は沈着冷静で思慮深く、ビュコック提督は我慢強い。ウランフ提督は剛毅で勇猛果敢。三位一体という訳です」
「…バランス
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