敢闘編
第四十九話 第五次イゼルローン要塞攻略戦(前)
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ている敵の予備兵力に対応せよ」
「了解しました。当方に向かう敵の予備兵力の一部、これよりC目標と呼称、各艦隊に伝達します」
「よし。我が艦隊も第十艦隊の移動後、前進。第五艦隊と共に敵駐留艦隊に当たる。ビュコック提督に連絡、第十艦隊が移動する、第十艦隊の移動を援護せよ」
「了解いたしました」
コルネイユ参謀長は相変わらず余計な事は言わない。私の指揮が現状でおかしくない証拠だろう。しかしいきなり先任指揮官として三個艦隊の指揮を執らされるとは…名誉な事だが私に上手くやれるのだろうか。
「閣下、C目標ですが、第十艦隊を釣る餌ではないでしょうか。C目標が針路を変えずに直進した場合、要塞主砲の有効射程内に入ります」
余計な事は言わないが、見ている所はきちんと見ている参謀長…それは有り得る話だ。この状況を見て長官代理はどうかなさるか…。
「そうだな、念のためウランフ提督に要塞主砲に注意するよう伝達しろ」
「了解しました」
帝国暦483年11月20日13:30
イゼルローン要塞近傍、銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ
ラインハルト・フォン・ミューゼル
叛乱軍は此方の意図を見抜くだろうか。しかし今回ばかりは見抜いたとしてもおそらく何も出来はしまい……ノルトハイム両分艦隊、ナッサウ分艦隊、計六千隻が駐留艦隊の右翼に向けて移動を開始した。駐留艦隊の右翼を大きく迂回し、敵の左翼を左側面から攻撃させようというのだ。
予備として後衛にいる我々から兵力を分派するのは時期尚早ではないのかと思ったが、駐留艦隊だけでは敵の両翼からの攻撃を支えきれない現実の前にはそうも言っていられない。
“艦隊の一部を分派し、駐留艦隊右翼を大きく迂回させ、要塞主砲の有効射程ギリギリのラインから敵左翼を側面から攻撃させよう”
意外な事にシューマッハ参謀長ではなく、ヒルデスハイム伯の発案だった。確かに意図は悪くない。上手く行けば敵左翼の注意を引き付けられる。六千隻の兵力で側面攻撃を行うのだ、その効果は大だろう。
「閣下」
「ミューゼル少佐、どうしたか」
「側面攻撃に向かう部隊ですが、要塞主砲の射程内に陣取り、長射程で攻撃させては如何でしょう。その後疑似突出と後退を繰り返しながら攻撃を続行させれば、要塞主砲の存在と相まって、敵左翼の注意を引き続ける事が出来ると思うのですが」
「ふむ…敵左翼への嫌がらせ、という訳か!しかし敵とて堪忍の尾が切れるかもしれん。敵左翼がワルトハイム達に襲いかかるかも知れんぞ?」
「過去の戦いを見てみますと、叛乱軍は要塞主砲をかなり恐れています。主砲射程内に入ろうとはしないと思われますので、その心配は無いものかと…駐留艦隊の右翼とうまく連動できれば、敵左翼を挟撃体勢に追い込む事が出来ます」
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