第五百七話 和歌山の馳走その七
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「ここまで酷いなんてね」
「そうだよな」
「一体何処まで酷い奴なんだ貴方は」
「聞けば聞く程酷いからな」
「大体黒ビキニの下着だそうじゃないか」
「何でそんな下着なんだよ」
「下着は関係ないのではないか」
その話にもコメカミをヒクヒクとさせて言った。
「僕はそこまで言われるのか」
「はい」
ここでイカロスが無表情で頷いた。
「言われる宝庫です」
「宝庫なのか、僕は」
「腐れ外道です」
「そうだ、腐れ外道だ」
智樹は二等身になり必死の顔で彼を指差して糾弾した。
「何が十代で子供二人だ、もて過ぎだろ」
「君が言うのはそこか」
「何度も言うぞ、あんたは腐れ外道だ」
「そして彼女にも言ったか」
「私は私の考えを言いました」
イカロスが答えた。
「マスターもそう思われているだけです」
「そういうことか」
「はい、それで下着は黒ビキニですか」
「今はボクサーだ」
「そちらですか」
「かなり言われたからな」
それでというのだ。
「もうな」
「そうなのですね」
「だからもう言わないことだ」
「そうします」
「全く、食事前に随分言われるものだ」
「食事前から言われるのでは」
静乃も容赦なく言う。
「それでやらかしてきたので」
「そうよね、それだと言われるわね」
サツキは静乃の言葉に頷いた。
「それこそ」
「ええ。あと本当にネタの宝庫だから」
「色々言われるわね」
「それこそね」
「これは美味い食事が楽しめそうだ」
薙切薊は頭にまでコメカミを出しつつ述べた。
「和歌山の産であることを抜いてな」
「初登場でここまで言われる人ははじめてです」
アスタルテはクールに述べた。
「如何にとんでもない人かということですね」
「しかも誰一人フォローしないわね」
「するつもりも起きないわ」
せいらはあかりに応えた。
「それも全く」
「そうよね」
「俺は謙虚で寛大だがどうにも我慢ならんことが無数にある」
ロキはジークフリートを背に話した、浴衣姿で正座しつつ。
「十代で子供を二人それも母親違いで作ることと娘さんにおかしな教育をすることと胡散臭い恰好をすることとそこにオールバックを入れることと料理界を好き勝手にしようとすることと似合わない剣道着を着ることと黒ビキニを穿くことだ」
「君がどれだけ僕を嫌いかわかったよ」
「嫌いではないがな」
「いや、全否定じゃないか」
「だがあんたも仲間だからな」
「それで嫌いではないのだね」
「言っているだけだ」
「そうなのか」
「まあ嫌いじゃないな」
「そうだな」
「確かにそうですね」
デスマスクとシュラ、アフロディーテもだった、勿論三人共浴衣である。
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