銀華編 ウルトラクルセイダーファイト 後編
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の箇所から伸びていた数本の触手が無惨に千切れ飛んで行く。
無論、これだけで終わる彼女達の攻撃ではない。ナターシャ・ジャハナムとエリー・ナカヤマが駆る最後の5号機が、「2発目」を叩き込むべく急加速していたのである。
『ナターシャさん! 2号機を追っている触手が、完全に伸び切っていますッ! 今なら私達が仕掛けても、シルバーブルーメはすぐに対応出来ないはずですッ!』
『よぉーし……! 行くよエリー、スペシウム弾頭弾……発射ァアッ!』
後部座席のレーダーから状況を観測していたエリーの言う通り、陽動に徹していた機体を追尾している触手は伸び切り、本体の防御が疎かになっている。その僅かな隙を、5号機は虎視眈々と狙い続けていたのだ。
前席のナターシャが操縦する5号機は素早くシルバーブルーメの懐に飛び込み、スペシウム弾頭弾を発射する。その弾頭が本体の下部に炸裂した瞬間、残っていた触手全てが「根元」から爆ぜてしまうのだった。
「み、皆っ……!」
その爆音だけで「外」の状況を察していた琴乃は、溶解が進みつつあるBURKセイバーの機内で、独り頬を濡らしていた。このまま座して死を待つしかなかった彼女にとっては、彼女達こそが最後の希望なのである。
『よし、邪魔な触手は全部千切ってやりましたねっ……! こうなったらシルバーブルーメも、デカいだけの木偶の坊同然ですっ!』
『だが……奴め、もう再生を始めているようだなッ……!』
一方、BURKプロトクルセイダー隊の攻撃によって、全ての触手を千切られてしまったシルバーブルーメは――無駄な足掻きだと言わんばかりに、触手の「再生」を始めていた。
少しずつではあるが、根元から爆ぜた7本の触手は、再び本体から放り出されようとしている。このままでは、リーゼロッテ達の攻撃も徒労に終わってしまう。
『……ふふっ、無駄な足掻きですねぇ。それが徒労に終わるとも知らないで……可哀想なことです』
だが、リーゼロッテをはじめとする10人の女傑はこの光景を目の当たりにしても、狼狽えることなく勝ち誇った貌を覗かせていた。
彼女達にとっては、このシルバーブルーメの再生こそが――「徒労」だったのである。
◇
その頃、リーゼロッテ達の戦闘を地上の基地から観測していた弘原海達は、「全ての触手の切断」という絶好の好機を目の当たりにしていた。
「隊長! プロトクルセイダー隊が、7本の触手を全て切断した模様! 再生中の今がチャンスですッ!」
「よぉしッ! 嵐真、駒門のこと……頼んだぞッ!」
「……はいッ!」
観測員の切迫した叫び声に、弘原海が声を上げた瞬間。彼の隣で待機していた嵐真はアキレスアイを手に、傷だらけの身を押して通信室の外へと飛び出して行く。
黄昏時の空を
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