銀華編 ウルトラクルセイダーファイト 中編
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るとはな。俺も随分と、甘くなったものだ」
シルバーシャーク砲の巨大な砲身を、剣呑な表情で一瞥している日ノ出新と氷川雄一郎。
「……目ん玉開いてよーく見ときな、前田。対テロ部隊で嫌というほど叩き込まれた、対人戦闘のイロハってヤツをよ」
「はい……! 勉強させて貰います、シゲタさんッ!」
対テロ部隊に所属していた頃の経験に基づき、無駄のない構えを取っているシゲタと、四股を踏みながら彼の佇まいをつぶさに観察している前田力也。
彼ら11名の男達は皆、調査隊時代に装備していた赤と黒の隊員服をその身に纏い、白のヘルメットを被っている。それは政府の命令に背いてでも、かつての仲間を絶対に救うという固い決意を示していた。
「馬鹿な……! お前達、駒門隊員のためとはいえ……政府の決定に逆らうつもりなのか!? これは国家に対する重大な叛逆だぞッ!?」
そんな男達の姿を目の当たりにした隊長格の男は、わなわなと肩を震わせている。政府の命令に反くBURK隊員など、前代未聞であった。
だが、士道達は彼の剣幕を目の当たりにしても全く動じていない。彼らは皆、全て承知の上でここに来ているのだから。
「ハッ、政府の決定だぁ? そんなもん知らねぇな、俺達の上官は綾川司令官なんだぜ? その綾川司令官が、お前達を止めろって言ってんだよッ!」
「綾川司令官の命令だと……!? そんなはずはない! この決定には司令官も納得されていたはずだ! だから我々はッ……!」
「今、シルバーシャーク砲を使わずに奴を倒すための『両面作戦』が始まっているんだ! 駒門隊員を殺したくないという気持ちが僅かでも残っているのなら……今すぐ発射を中止しろッ!」
政府の圧力がどれほど強くとも、あくまで指揮系統を握っているのは綾川司令官なのだと豪語する荒島。そんな彼に続く士道も綾川司令官の代弁者として、隊長格の男に発射の中止を要求している。
「ど、どうすればいいんだよ、俺達……。両面作戦なんて、聞かされてないぞ……!」
「俺達だって、駒門隊員を殺したくなんかねぇよ……! 俺なんて、まだ1回も声掛けたことねぇんだぞ……!」
「ち、ちくしょう、どうすりゃ良いんだ……! 俺だって、あのおっぱい揉みてぇよッ……!」
「だけど、政府の命令に逆らうわけには……!」
政府に命じられるまま、シルバーシャーク砲の発射準備を終えようとしていた隊員達は、互いに不安げな表情で顔を見合わせていた。
琴乃を犠牲にしない方法が本当にあるというのなら、自分達の行いは本当に正しいのだろうか。その疑問から抜け出せなくなっているのだ。
「……ええい、お前達! こんな奴らの戯言に何を躊躇っている!
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