外星編 ウルトラホピスファイト part8
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個体名を冠していたのである。
そして――そんなキングジョーには、ある一つの「特徴」があった。優れた継戦能力を維持するため、より高精度な人工知能を搭載していたその機体には、「心」があったのである。
あまりに精度が高い人工知能は、ホピス星人達との交流という「学習」を経て、人類が持つ情緒の動きを習得していたのだ。
そんなキングジョーに一輪の花を捧げていた1人の少女の言葉が――今もなお、人工知能の深層部に刻まれているのである。
――わたしたちを、まもってね。
そう微笑んでいたホピス星人の少女は、この惑星を焼き尽くした光波熱線に飲み込まれ、数え切れない犠牲者達の1人となった。
平和への祈りを一身に背負い、この星を守り抜くはずだった鋼鉄の騎士は。何の役にも、立たなかったのである。
――おれは、まもる。みんなをまもる。
どの口が言うのか。何も出来なかったというのに。全てが滅びた今になって、何から何を守ろうと言うのか。
それが分からないような知能ではない。キングジョーの頭脳はすでに、己の存在そのものが無意味に終わったことを理解していた。
だが、高度な人工知能が得てしまった「心」という「エラー」が、納得を拒んでいたのである。まだ自分は負けていない、まだ戦いは終わっていない。
その暗示を己に掛けていたキングジョーは、BURK惑星調査隊を侵略者と見做し、攻撃を開始したのである。自分の敗北を認められない哀れな人形は、この期に及んで無意味と知りながら、己のアイデンティティを闘争によって取り戻そうとしていたのだ。
何の役にも立たなかった、穀潰しの騎士は。ただひたすらに、惨めであった。
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