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ウルトラマンカイナ
外星編 ウルトラホピスファイト part5
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う。彼らの議論はいつもこうして、強制終了させられているのだ。

 そんな彼らの「日常」を遠巻きに見守っていた、ベテランの多月草士郎(たつきそうしろう)隊員と木場司(きばつかさ)隊員は、静かに苦笑を浮かべている。かつては士道と鶴千の教官だった彼らにとって、仲を取り持つ手力の存在は非常に大きなものであった。

「全く……いつもいつも、あの2人には困ったものだな。手力がいなければ、今頃どうなっていたか……」
「己の使命に誇りを持っているからこそ、譲れないものがあるのだろうが……その矜持は、仲間達と力を合わせて初めて実を結ぶものだ。手力の存在がきっと、あの馬鹿共にそれを教えてくれるさ」
「……やれやれ。いつになったら私達は、あいつらのお目付役から解放されるのだろうな? 木場」
「解放など期待しない方がいいぞ、多月。手力が付いていても、あいつらはやはり水と油だ」

 手力の介入により議論を打ち切られた後も、肩越しに睨み合いながら別室に移動して行く士道と鶴千。そんな2人を一瞥しながら、木場は戦友(ダチ)の心労を労わるように多月の肩を叩いている。

 一方、怪獣の着ぐるみを着た1人の男――荒島真己(あらしまみこと)隊員が、多月達の傍らをのっしのっしと通り過ぎていた。その珍妙な格好について苦言を呈する叶亥治郎(かのうげんじろう)隊員は、教え子の奇行に今日も頭を悩ませている。

「……荒島君、いつまでその着ぐるみで基地内を歩き回るつもりだね。『あの2人』なら今ここには居ないのだぞ」
「そうは言いますけどね、叶先生。基地内に居れば必ずどこかで『あの2人』にかち会う可能性はあるんですよ? いつもいつも、女臭くて敵わないんですよぉ」

 大学の准教授位を持つ初老の男性であり、惑星探査の専門家として今回の調査隊に参加している叶。そんな彼の教え子である荒島も、優れた頭脳と身体能力を兼ね備えた優秀な隊員……ではあるのだが、女性の色気や芳香に関しては大の苦手という一面があるのだ。
 彼らの云う「あの2人」とは無論、駒門琴乃隊員とシャーロット博士のことである。特に芳醇な女の香りを、その豊満な肉体から絶えず振り撒いている彼女達2人は、荒島にとってはまさしく「天敵」なのだ。

「俺は理性的かつ合理的に、遭遇時のリスクを想定して回避に努めているまでですよ。うん、我ながら完璧な防護服だ! くっせぇ匂いもこれで完全シャットアウトだぜ!」
「……君を見ていると、私は教職者としての無力さを痛感するよ」

 そんな教え子の言い分を承知の上で、叶は顔を覆い天を仰いでいる。もう少し他に手はなかったのか。その思いが今、彼の胸の内を満たしていた。

 ――その頃。BURKスコーピオンの船内にある格納庫では、BURKエイティーツーの整備が進められていた。
 
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