外星編 ウルトラホピスファイト part5
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――士道剣の脳裏に過ぎったのは、BURKスコーピオンで宇宙に飛び立つ前のこと。自身と同じ調査隊のメンバーとして選抜された、エリート隊員達との語らいの日々だった。
特に印象深いのは――全く反りが合わないまま共に到着の日を迎えた、鶴千契隊員だ。
常に寡黙で冷静な男だが、その佇まいに反して怪獣や敵性異星人に対しては非常に好戦的であり、「あんな蛮族を宇宙に出したら地球人が誤解される」とまで評されたこともある獰猛な男であった。
その姿勢も、地球を守らねばという使命感の強さ故……なのだが、「怪獣が居たなら即座に倒せば良い」という攻撃的な思想を隠そうともしないのである。荒事をなるべく避け、慎重に調査を進めるべきだという考えを持っていた士道とは、まさに水と油であった。
「だから! 例えホピス星で怪獣を発見したとしても、いきなり俺達の方から攻撃を始めたら現地の星人を巻き込む可能性があるだろうが! その短絡的な思考はいい加減どうにかならないのか、鶴千!」
「……あの爆発の熱量では、現生人類の生存率は絶望的だ。俺達が躊躇えば、その瞬間に殺られる。お前のそういう甘い考えこそが、仲間を窮地に追いやりかねんということが分からんのか? 士道」
BURKスコーピオン打ち上げの前日。地上に設けられた宇宙基地の休憩室で、毎日のように激しく議論を戦わせていた士道と鶴千は、この調査隊メンバーの中においても屈指の体格と戦闘能力の持ち主であり、ほとんどの乗組員達は慄きながら2人の様子を見守っていた。
もし2人の争いが本気の殴り合いに発展したら、「カミナリ親父」の弘原海隊長しか止められないのではないか。そんな噂が囁かれるほどに、両者の「腕っ節」は突出していたのである。
「おいおいお前ら、せっかく同じチームに選ばれた仲間達同士で何を揉めてんだ! こういう時はな、まず握手で友情を深め合うんだよっ!」
――だが。そんな険悪な空気などどこ吹く風と言わんばかりに、気さくな様子で割って入って来る青年が居た。「握手をすれば仲間」をモットーとする、手力握人隊員だ。
身長195cmという大柄な2人に対して、173cmと(調査隊メンバーの男性隊員としては)比較的小柄な彼は、その体格差を全く気にせず堂々と2人に絡んで行く。そんな手力の登場に、士道と鶴千は顔を見合わせてげんなりとした表情を浮かべていた。
「……続きは次の機会だ。手力が来たらもう議論にならん」
「……そうだな。また煩いのが来てしまった」
「えっ? おいちょ、待てよ士道! 鶴千! 仲直りの握手がまだだぜぇ!?」
双方の睨み合いなど全く意に介さず、良くも悪くも空気を読まない彼の登場により、毒気を抜かれた2人は深々とため息を吐いてしま
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