暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第三十一章 なにが、出来るのかな
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ならず、次元転換法則のみならず、もっと踏み込んだかつ膨大な領域の、ことごとくを寸分の狂いなく捻じ曲げなければならない。最低それくらい出来なければ、宇宙空間の因果律など変えられるはずがない。簡単にいって、絶対神を作る必要があるんです」
「絶対神?」
「はい。自然発生した、かつて地球の人類が考えていたような神の概念でもよいですが、そうでなくとも構いません。要するに、世界はすべて科学ですから」
「え、どういう、こと?」

 話が分からなくってきて、おもわずアサキはきょとんとしてしまう。

「ロケット、人工天体、反応素子のゼロイチ概念、などだけが科学ではない。神がいる、悪魔がいる、魔王がいる、魔法がある、神獣がいる、霊魂がある、それが本当にあるというのならば、等しくみな科学なんです。最終的に、左と右が等号で結ばれていればよいのです。因果が合えばよいのです」
「あ、あの、ヴァイスちゃん、ごめん、いってることの……」
「どうであれ、ただ神でありさえすれば良い、ということです」
「どうであれ、神で……」
「はい。この惑星の管理者という意味の『神』とは別に、神という概念を完璧に備えた神であればよい」

 白い衣装の少女が語るのを、アサキは口をぽかんと半開きにして聞いている。
 見ると、治奈もカズミもおんなじ顔だ。さもあろう。

「そうした神を作り上げるための陽子配列式は、まったくの不明であり、研究解析には無限に近い時間が掛かるかも知れない。といった、霊的な仮想地球が生まれ、現実世界を影響させていく可能性も考慮して、余裕を持たせるため十五基もの人工惑星を作ったのです。古代地球の、科学者たちは。でも……」
「結局、この一基しか、残らなかった」
「はい。先ほどお話をした、時送りの不具合のため。……結果、現実と時を同期せざるを得なくなり、地球を育てるという一回の実験の都度、膨大な時間を使うことになった。もう宇宙の寿命は、あと八十億年ほどしか残されていない」

 先ほども、同じような説明を聞いた。

 やっぱり話は真実で、いまいるここが、現実の世界なのだろうな。
 と、アサキはいまさらながらに思っていた。

 問題が切実であることも、なんとなく実感が沸いてきた。

 八十億年、回答を導くに充分過ぎる時間に思えなくもない。
 でも、仮想地球を使ってのテストがあと一回しか出来ないことを考えれば、確かに絶望的なことなのかも知れない。
 自分の世界もテストの中の一回だったと思うと、面白い気持ちではないが、ここでそれをいっても始まらない。

 なにが、出来るのだろうか。
 わたしに。
 いや、わたしたちに。

 なにが、出来るのだろうか。
 この、ほとんど死んだような、
 この、現実の世界で。

「なあ、誰かの、声、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ