第三章
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「そしてそれを晴らす為にここまでなった」
「おい、それ子供の頃だろ」
「まだ子供の頃だろ」
「今それ言うか?」
「もう四半世紀は前のことだぞ」
言われた方は思い出した顔になって言い返した。
「そりゃあの時は悪いことしたけれどな」
「あの時は子供だっただろ」
「子供のしたことだろ」
「そんなこと言われてもな」
「君達のことは忘れない、君達の過去は全て周りに話す」
野上はその彼等に怨みと憎悪で燃える目で返した。
「楽しみにしていることだ」
「そんな子供の頃のことをか」
「お前幾ら何でも酷いだろ」
「子供のしたことだろ」
「それに何時のことだ」
「何時でもだ、俺は君達を絶対に許さない」
最後にこう言ってだった、野上は同窓会の場を去った。上等のスーツに身を包んだ長身は背筋はしっかりとしていたが。
誰もがその彼からオーラを見た、それは怨みと憎しみに燃えたドス黒いものだった。
この同窓会の後の話を聞いてだ、長内は当時院生で今は野上と同僚になっている彼に対して話した。
「探偵まで雇ってだね」
「はい、それぞれの人の身辺や過去を洗いざらい調べて」
「若気の至りだのを全部知って」
「それをそれぞれの人の家族や仕事仲間に言ったそうです」
「そうしてだね」
「はい、どの人も家庭は崩壊して」
院生だった彼も聞いて語った。
「それで仕事もです」
「上手くいかなくなったんだね」
「そうなりました」
「そうだね、彼は今まで努力していたのは」
「ああする為ですか」
「そうだよ、自分が強くなってね」
「確実に復讐出来る様になる」
「その為だったんだよ、優秀な学者でありスポーツマンでね」
そうした肩書がありというのだ。
「彼等をそこでも圧倒して見返して」
「それで満足しないで」
「子供の頃からの怨みと憎しみをね」
「晴らす為にですね」
「努力していたんだ」
「だから優秀なんですね」
「うん、けれどね」
それでもとだ、長内は彼にさらに話した。
「彼の究極の目的は」
「いじめられた怨みと憎しみを晴らすことだったんですね」
「そうだったんだよ」
「それでああしたんですね」
「そうだよ、それで彼等はね」
野上をいじめていた者達はというのだ。
「皆家庭は崩壊してね」
「仕事もですね」
「大変なことになったよ、何しろ隠したいこともだよ」
「全部出されて言われたので」
「そうなったよ、人間生きていれば」
それでだけでというのだ。
「誰でも幾つかは隠したいことがあるね」
「それはそうですね」
彼も長内の言葉に頷いて肯定した。
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