第三章
[8]前話
「私コクってたわ」
「私もよ、イケメンで有能って素敵じゃない」
「今じゃ政界のプリンスか大企業の若社長」
「しかも切れ者ってね」
「カリスマもあったし」
「これはもてるわ」
「本当にそうよね」
実に嬉しそうに話していた、そして。
オクタヴィアヌスは天国でその彼女達を見て笑っていた。
「よし、後世でもだ」
「オクタヴィアヌス様はお若いとですね」
「思われていますね」
「そうなっていますね」
「しかも整っていると」
「当時のことを考えていたがな」
自分が生きていたその頃をというのだ。
「あれから二千年経ったが」
「それでもですね」
「お若いと思われていますね」
「そしてお美しいと」
「そうだ、しかしだ」
ここで彼はその日本の若い女達の言葉に顔を顰めさせた。
「背は一五八ってね」
「小さかったのね」
「私達と同じ位よね」
「そこはちょっとね」
「そなた達が大き過ぎるのだ」
天国でむっとした顔になって述べた。
「後世のな」
「オクタヴィアヌス様は小さくなかったです」
「特に」
「そうだな、しかしだ」
それがというのだ。
「後世から見れば私は小さいのだな」
「特に男性としては」
「その様ですね」
「それは我々もですね」
「小さいですね」
「そこまでは考えていなかった、それを言われるとな」
どうにもと言うのだった。
「困る」
「全くですね」
「そこまで誰も考えないですね」
「全く以て」
「そうだ、そのことを言われるとは思わなかった」
背のことはこう言うのだった、だが。
オクタヴィアヌスが整った外見を持っていたことは後世でも言われている、それが彼が造らせた多くの像によるところが大きいことは言うまでもない。若い美しい時をもとにした像は確かに彼を美形ということにしていた。それは後世にまで及んで今にも伝わっていることである。
自身の像 完
2022・2・12
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