第二章
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オクタヴィアヌスも聞いた、彼はもう顔には多くの皺があり髪の毛も白くなっていた。老人になっていた。
そのうえでだ、彼は苦笑いになって言った。
「私が一番外見が優れていた時の姿でだ」
「像を造らせていますか」
「アウグストゥスになられてすぐの時に」
「三十代半ばの頃で」
「三十代の終わりだったかもな、兎に角だ」
像の姿のことはというのだ。
「それ位はいいだろう」
「お若い時のままでも」
「それでもですか」
「よいですか」
「これ位はな」
苦笑いのまま話した。
「いいだろう」
「ご自身の願いですね」
「お若い頃のままでいたい」
「せめて像だけは」
「それで、ですか」
「若い時の姿で造らせているのだ」
こう廷臣達に話した。
「ローマを治める、アウグストゥスの権威を以てな」
「それを知らしめる像で」
「ローマ中に建てていますが」
「それでもですね」
「若い、整った外見の頃の私の姿で皆には私を見て欲しいのだ」
像を通じてというのだ。
「だからそうしている、本当にこれ位はいいな」
「まあそう言われますと」
「我々も若い時の姿がいいです」
「その頃は外見も整っていましたし」
「今よりは」
「歳を取ると皺が増えて身体も老いてな」
そうなってというのだ。
「髪の毛も白くなったり減るな」
「どうしても」
「そうなってしまいますね」
「歳を取ると」
「そうした姿の私を見て私の姿を印象付けて欲しくない」
その気持ちを切実に話した。
「だからこそだ」
「その様にされていますか」
「像はお若い時の姿のまま」
「そうなのですね」
「そうだ、これからも像はその姿で造らせる」
若い時のそれでというのだ、こう言ってだった。
オクタヴィアヌスは当時としてはかなりの高齢まで生きたが像は常に若く整ったままであった。その像は今も残り。
ある日本の若い女性達が彼の像を見て明るく笑って話した。
「オクタヴィアヌスってイケメンよね」
「そうよね、若くして皇帝になったしね」
「イケメンでカリスマがあって政治力が高い」
「惚れるわね」
「そうよね、今生きていたらね」
それならというのだ。
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