第一章
[2]次話
子供と柘榴
昔々のお話です。
インドのラージャグリハという街にハーリティーという女神が住んでいました。この女神はパンチカという神様の奥さんで五百人の子供がいました。
ハーリティーはその五百人の子供を皆とても可愛がっていましたが。
「子供が攫われた」
「ハーリティー様にそうされた」
「攫われた子供はハーリティー様の子供の食事にされる」
「折角授かった子供がそうなるなんて」
「困ったことだ」
「どうにかならないのか」
街の人達はハーリティーに子供達を攫われて殺されて食べられてしまうことを深く嘆いていました、その嘆きの声はインド中に鳴り響き。
その声を聞いたお釈迦様はその街に来て人々の嘆きを聞きました。
「それは大変です、私が何とかしましょう」
「そうしてくれますか」
「ハーリティー様が子供を攫うのを止めてくれますか」
「その子供を殺してご自身の子供の食事にすることも」
「全て止めてくれますか」
「そうしたことは止めねばなりません」
お釈迦様は人々に強い声で答えました。
「だからこそ私はこの街に来ました」
「そう言って下さいますか」
「ではお願いします」
「どうか止めて下さい」
「宜しくお願いします」
「それでは」
お釈迦様は街の人達に約束してでした。
ハーリティーの館にそって入ってです。
ハーリティーの五百人の子供のうちの末っ子であるピンカラという女の子をご自身が持っている鉢に入れてです。
あっという間に隠してお釈迦様は身を隠しました、すると五百人の子供をいつも大事にしているハーリティーはです。
すぐにピンカラがいなくなったことに気付いて慌てて探しました、ですが世界の何処を探してもピンカラはいません。
困り果てたハーリティーにある人が言いました。
「お釈迦様はこの世のことを何でもご存知ですよ」
「それならば」
「はい、お釈迦さまに聞けば」
恐ろしい口が耳まで割け目がつり上がって爛々と光り長い黒髪は乱れている鬼神に対して言うのでした。
「わかるかと」
「それならば」
ハーリティーはその人の言葉に頷いてでした。
すぐにお釈迦様のところに行って尋ねました、するとお釈迦様はハーリティーに静かにこう言いました。
「貴女の娘は私が預かっています」
「お釈迦様がですか」
「実は貴女に言いたいことがあり」
そしてというのです。
「貴女の娘、ピンカラを攫ったのです」
「何故そんなことをされたのですか?」
ハーリティーはお釈迦様に尋ねました。
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