第三十三話 夏が近付いてその十二
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「怒る時は怒って。それで留奈自身もね」
「自分で考えていくことね」
「ちゃんと生きていってね」
「だからアルバイトもいいのね」
「そうよ、その人はお仕事もしなかったしね」
「ニートだったっていうわね」
「ニートでも主夫にならないでね」
家事をせずにというのだ。
「偉そうに言うだけだったのよ」
「家事してたら全く違っていたわね」
留奈はこうも思った。
「そうよね」
「ええ、それでね」
「それでもその人家事もしなかったのね」
「お料理もお洗濯もね」
「ただお家にいるだけだったのね」
「それで本を読むだけだったのよ。本を読むこと自体はいいことでも」
それでもというのだ。
「それだけだとね」
「何にもならないのね」
「社会経験を積まないで」
それでというのだ。
「お仕事も家事もしないと」
「そうなるのね」
「親御さんも甘やかしたし」
「それでそうなったのなら」
「アルバイトもよ」
働いて金を稼いで社会経験を積むこともというのだ、母は留奈の顔をじっと見てそのうえで話していった。
「大事なのよ」
「そういうことね」
「親御さんも酷かったけれど」
「その息子さんも酷かったのね」
「そうよ、お母さんはどう言われてもいいけれど」
それでもというのだ。
「あんたやお兄ちゃんがいい人生を歩めないなら」
「残念なのね」
「そういうことだから」
それでというのだ。
「自分でもちゃんとしてね」
「そうしていくわね」
「ええ、お母さんはそうして欲しいから」
「それじゃあね、しかし働かないでも」
ニートでもとだ、母は思って言った。
「流石にここまでは普通はね」
「悪くならないわね」
「ええ、普通はね」
そうだというのだ。
「本当に親御さんが悪くて自分自身もね」
「悪かったのね」
「相当ね、誰がどう見ても偉いなんてね」
自分自身がそう思っていてもというのだ。
「思えないでしょ」
「何でそう思えるか不思議よ」
「そうでしょ」
「何も持ってないのに」
「本の知識だけよ、あとテレビね」
「それだけで偉くならないわよ」
留奈は素っ気なく返した。
「というか全部読んで観ただけで」
「実際じゃないわね」
「別に学者さんでもないでしょ」
「ええ、在野の学者さんもいるけれど」
学舎で教鞭を執っている者だけが学舎ではない、他の仕事を持ちながら学問を行い論文を発表している者もいるのだ。
「その人はね」
「学者さんでもなかったのね」
「本当にただね」
「本読んでテレビ観るだけね」
「そうだったのよ、論文を発表することも」
そうしたこともというのだ。
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