第三十三話 夏が近付いてその十
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「それでその悪いお話を聞いてどう思うか」
「それが大事なのね」
「ああはなるまいと思ったら」
それならというのだ。
「絶対によ」
「ならないことね」
「反面教師にしてね」
そのうえでというのだ。
「絶対にそうならない」
「そう思ってやっていくことね」
「そうよ、そうしたらね」
それならというのだ。
「よくなるから」
「人間として」
「流石にこんな人そうはいないけれどね」
「酷過ぎるわね」
「幾ら何でもね」
母も流石にという口調で述べた。
「流石に」
「本当に酷過ぎるわよ」
「だから反面教師としてはよ」
「かなり酷いのね」
「幾ら何でもね、けれどこうなりたくないと思う人も必要なのよ」
反面教師もというのだ。
「自分はなったら駄目だけれどね」
「そうした人になって」
「そのうえでね」
「そうよね」
「この人はお金の使い方も酷かったし」
「今お話した通りね」
「人の為には使わないでね」
「しかも働かないで」
「お金がなくなったらサラ金から借りて」
そしてというのだ。
「他の人達に迷惑をかけたから」
「親戚の人達に」
「そうなることはね」
「駄目ね」
「お金の使い方もね」
「他のことも酷いけれどね」
留奈は自分から述べた。
「恩知らずで文句ばかりで器が小さくて尊大でそれなのに何も出来なくて働かなくてしかも無神経って」
「悪い部分ばかりでしょ」
「いいとこないの?」
「あるって聞いたことはないわ」
母もだった。
「生きていて誰の役に立ったことも助けたこともない」
「害にしかならなかったの?」
「ずっとね」
その人生はというのだ。
「そうだったみたいよ」
「そうなのね」
「本当に自分だけの人でね」
「他の人はどうでもよかったのね」
「ええ、だからね」
「誰も助けたりしなかったのね」
「生きていてね、それでいて人の立場や学歴をひがんでいたそうよ」
そうした一面もあったというのだ。
「自分でも何もないってわかっていたから」
「自分を偉いと思っていても」
「その偉い自分が立場も学歴もないのよ」
「だからひがむのね」
「当然権力もなければお友達もいない」
「本当に何もない人だったのね」
留奈もこのことがわかった。
「何も出来なくて」
「生きていて全く努力しなかったからね」
「そうなったのね」
「そうならない為にはね」
「努力することね」
「今やれることでもいいから」
そうであってもというのだ。
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