TALES OF ULTRAMAN 鬼神の立つ湖
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を飛び交いながら時折衝突し、飛行しながら組み合っては離れてを繰り返していた。戦いながらも目の端では人々が湖岸からその姿を目で追おうとしてしまいには目を回しそうになっている様も見えていた。それだけではない。大悟の耳には美座伶や堀兵衛、仲間たちはもちろん、見知らぬ顔の村人たちまでもが自分を応援している声が聞こえていた。その少し向こうでは山々の間で光命が護琉座と戦っている。光命の方も、護琉座を山の方へと押し返さんばかりの勢いで組み伏せていた。今や大悟は一人で戦っているのではい。加魅羅の望んでいたような闇の鬼神になる必要は、もはやなかった。
大悟の攻勢が衰えるばかりか勢いをましていくに連れて、どうやら滅琉羽は不利な形勢だと見て取ったようだった。不意に大悟を振り払ってその身を翻すと、逃げるように湖の向こうへと飛び去ろうとするところだった。
大悟はそのまま滅琉羽を追わずに旋回して湖岸に戻って地面に降り立った。それから、先ほど姿を変えた時と同じようにして再び元のまだらの姿に戻ると、遠くの滅琉羽を目で追い始めた。鬼神の姿であれば、人の姿でいる時には考えられないほど遠くまでを見通すことが出来た。
遥か遠くを飛び去る滅琉羽を目で捉えると、大悟は両脇に力の限り握った拳を構え、そこから胸の前で手を交差させた。それから今度は手から発する光の帯を目いっぱい伸ばすように腕を広げる。眼下では人々が一体何が起きるのかと大悟と光命の戦いを交互に見守っていた。光命も今、山々の間で護琉座と決着をつけようとしているところだったのだ。
大悟は以前夢で見た、遠い未来で戦う巨人がしていた通りの構えをとろうとしていた。両の腕を伸ばした構えから、今度は左手を立てて、右手を左の肘に添える。その時に大悟の構えから光の帯がほとばしり、湖を突っ切って滅琉羽まで届くとその体を刃のように貫く。湖の上で滅琉羽が爆散する音が響きわたり、湖面が少しばかり波立ったのと同じころ、光命もまた最後の技を決めようとしているところだった。光命が右手を胸にあてたまま護琉座に狙いをつけるように左手を伸ばすと、その指先から同じく光の帯が放たれた。
光の帯を受けた護琉座の体は山が崩れるようにして散る。その様を見ていた人々は歓声を上げて安堵と喜びを分かち合った。
戦いが終わったのである。静けさを取り戻した夜の湖岸で大悟と光命、両の鬼神は歩み寄った。それから二人は人々の見守る中で互いにうなずき、手をとりあった。
大悟たちは湖岸の村で幾日かを過ごした。村人たちは村を救った鬼神を讃えるとして祭りを催した。それは盛大な祭りで、大悟たち一同は村を救った恩人として、特に大悟と光命は英雄その人であるため、一際高い座に座らされて村人たちからの歓待を受けた。大悟としては居心地が悪くて仕方がなかった。隣にいる光命は魂が抜けたような
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