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TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
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で次元を越えてあなた達にまで迷惑をかけてしまった」
ジードがいくらか申しわけなさそうな顔をすると、ベリアルは彼の肩を軽く叩いた。
「何、共に戦えて嬉しかった。あちらの世界では俺はもう少し親父らしいことをしてやっているだろうか」
何気なくベリアルが訊くと、ジードは「ええ、もちろん」と優しく答えた。けれども、その表情を見たときにベリアルは悟らずにはいられなかった。彼がやってきた宇宙では、自分は父親として彼の側にいてやれていないことを。もしかすると彼がまとっている悲しみの一端を背負わせたのは、その世界の自分自身なのかもしれない。ベリアルはそう考えてたまらなく哀しくなった。しかし、それを心のうちに押しとどめたまま「ならよかった」と笑った。
そのうちに、この世界のジードがもう一人のジードに声をかけた。
「もう行くんだね」
もう一人のジードはうなずいた。
「まだまだ、デビルスプリンターは色々な宇宙に被害をもたらしているからね」
「あの欠片は一体なんなんだ?あれのせいで怪獣は凶暴化し、しまいにはゼロにまで――。確かにあれはレイブラットの力だ。しかし、別の力が入り混じっている。あれは――」
「――ウルトラマンの力」
もう一人のジードがそう言うと、隣でこの世界のジードが驚きの声を漏らすのが聞こえた。しかし、もう一人のジードはうつむいたまましばらく答えなかった。おそらく、彼はその正体を自分たちに口にすることは決してないのだろう。ベリアルは直感した。なんとか聞き出そうとしても無駄な様子だった。けれども、あの破片はどれほどの残酷な背景のもとに生まれ、我々や今目の前にしている異次元からの若き使者を苦しめているのか。ベリアルは思いを巡らせながらも、心のどこかで自分はあまりその真実に触れてはならないのだともわかっていた。
「一緒に戦えて嬉しかったよ」
もう一人のジードは最初に出現した時と同じ、青い体の戦士の姿に変わると、別宇宙への入り口を光弾で開いた。そして最後にもう一度振り返り、並び立つベリアルとジードを見つめて、彼らにこう言った。
「いつまでも、いつまでも仲良くね」
もう一人のジードが別宇宙への入り口をくぐると、そのあとで入り口は静かに閉じた。
別世界のジードが去ったあとではしばらく静けさがあたりを支配するように思われたものの、存外そんなことはなかった。少し離れたところで意識を失っていたゼロはにわかに意識を取り戻し始めたらしく、かすかなうめき声が聞こえた。それに、程なくしてケンやゾフィー、タロウがこちらへ飛んでくる音が聞こえた。
「探したぞ、ベリアル、ジード、無事か」
なに、大したことはないさ、と言いながら倒れかかるベリアルをジードが慌てて支えた。ベリアルはジードに嬉しそうな様子で顔を向けた。その様子を見ていたケンは言葉もなく満足気
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