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TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
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聞こえない。それでも彼は構わずに少し笑って言った。
「お前ならできるだろうな。だってお前はお前なんだから」
苦悶の声に混じって切れ切れにジードの口から言葉が漏れ出た。彼がそれを何度か繰り返すうちに言葉は輪郭を得て、ベリアルの耳にも届いた。
「――決めるぜ、覚悟」
その時、いくつかのことが同時に起きた。一つに、ジードの目は青い輝きを取り戻し、凄まじい咆哮とともにデビルスプリンターを介した干渉から開放されたこと。もう一つは宇宙の虚空を切るように何かがこちらへと近付いてくるのをベリアルの感覚が察知したことだった。その何かがやってくる方向へ目を向けると、突然、空に光の輪が瞬き、そこから光を帯びた何かが勢いよく飛び出してきた。
「――守るぜ、希望」
高らかに声が響くとともにそれは荒野の惑星に降り立った。最初に見た時はベリアル
はケンが救援にたどり着いたと思っていた。こちらに背を向けて立つシルエットの姿形のなかで、巨大なウルトラホーンは遠目からでも認めることができるくらいに目立っていた。しかし、その体から発せられる光が落ち着くと、中からは上半身を銀色の鎧で包まれた、青く輝く体が姿を現した。それはケンの持つ銀色の輝きではなく、どちらかといえば変貌をとげる前のゼロの体に近かった。そしてゆっくりと振り返ったその顔を見るとベリアルはもはや驚きを隠すことはできず、声を漏らした。
「――ジードか?」
その顔は現在のジードそのものだった。青い羽根のような目、牙のような口。けれども、先ほどまで一緒にいたジードはすぐ傍らに立ち、やはりベリアルと同じく呆然として突如現れたそのウルトラマンを見つめていた。その時、ベリアルの脳裏にはアーカイブで見た地球のニンゲンたちの言葉が浮かんでいた。――崇高なる戦士、マグニフィセント。
そのウルトラマンはこちらの姿を認めると、むしろベリアル達よりも動揺した様子だった。
「――父さん?それに――僕?」
ベリアルの脳裏に以前ウルトラマンヒカリが話していた宇宙にまつわる仮説が頭に浮かんだ。マルチバース理論、この宇宙の他にも別の宇宙が数多く存在し、それぞれの時間軸を持っている。今回の事件の発端となったデビルスプリンターもおそらくはそういった宇宙からやってきたものなのではないか、とヒカリは話していた。そして、そのことが先ほど今目にしている未知のウルトラマンがくぐり抜けてきた光の輪と結びつき、ベリアルは確信した。今、目の前にいるこのウルトラマンは別宇宙からやってきたジード、ヒカリの言葉を借りるなら「平行同位体」といったところなのだろう。
前方でアークゼロが鋭い咆哮を上げると、三人とも同時に注意を戻した。銀色の鎧をまとったもう一人のジードが構えをとると、電撃のような光が彼の体の回りを巡り、周囲の地面に転がっていた岩が震え出した。お
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