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TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
TALES OF ULTRAMAN ウルトラマルチバースファイト ベリアル&ジード&GEED
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己はいともたやすく揺れる。それがわかっているからこそ、こいつは苦しみもがき、さらに苦悶の深みと足をとられるのだ。
 やがて、ジードがふりしぼるようにして声に出した。
「僕は」
 そうだ、この苦しみと迷いに満ちた声。もうすぐだ。
「僕が僕らしくいるために、誰の笑顔も曇らせない」
 ゼロの中のレイブラットの怒りが頂点に達した。彼の怒りがゼロの体を完全に支配すると、少し離れたところにあったデビルスプリンターが直接手を触れずとも彼に呼応し、赤い光の粒子を放ち始めた。
 赤い粒子のいくらかが宇宙に流れると、間もなく空間に裂け目ができるのをジードは見た。そして、その裂け目からデビルプリンターの欠片が無数に吐き出されるように出現するとゼロの体に次々と同化していった。
 時を同じくしてベリアルが惑星D20の地表に降り立ち、ジードに駆け寄った。
「ジード、危険だ。下がれ」
 ジードは振り向いて父の姿を認めると、驚きを隠せない様子だった。
「父さん?あの怪我でどうやって――」
「詳しい話はあとだ。俺の勘があたったとすれば、こいつは厄介なことになる」 
 ベリアルはこれから起きることを直感していた。夢の中で闇に落ちた自分がウルトラマンの形の欠片もなくした時に変貌した姿――。それはもはや怪獣としか呼べない姿であった。夢の中ではそれは『アークベリアル』と呼ばれていた。しかし、今は――。
「アークゼロ――」
 ベリアルがそう呟く時には、ゼロは影形から変貌を始めていた。まず、ゼロの体は途方もなく巨大化し、背中からは角のような結晶が突き出していた。夢で見たアークベリアルは体に取り込んだ「エメラル鉱石」という鉱石の力がその角に集積されているようだった。けれども、今目にしているアークゼロのそれはデビルスプリンターの破片と同じように赤く、時折熱を帯びたように光っていた。黒く変化していた体はみるみるうちに岩のような肌つきに代わり、「それ」が前かがみの姿勢をとるとそれはまさに獣のような姿となった。頭のスラッガーはいくらかの面影を残したまま禍々しい角に変貌していた。小さく光る黄色い目は獣のように小さく、いくらか落ちくぼん眼孔のなかで凶暴にぎらついていた。夢で見たアークベリアルの目は炎が躍るような形をした目をしていたが、ここはアークゼロ特有の変化だった。理性を吹き払った眼光を見て、ベリアルはゼロの意識はすでに封じ込められており、一切の自由が効かない状態にあると見て取れた。つまりはもはや言葉による呼び掛けではゼロを引き戻すことはかなわないのだ。
 変貌をとげたアークゼロが大きく開いた口からは炎が吹き出した。ジードとベリアルはそれぞれに間一髪で炎を交わし、後ずさりしながらアークゼロの隙を伺う。
 ジードとベリアルは視線を交わすこともなく同時に光線を構えた。
「レッキングシュ
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