第五百七話 和歌山の馳走その二
[8]前話 [2]次話
「発動するのだ」
「そうなのか」
サガが問うた。
「貴方達は」
「そうだ、我が一族はな」
「確か養子に入ってもだな」
「如何にも」
「僕も発動させられる」
ここでだった。
血の気の悪い顔でオールバックの男が言ってきた。
「その為に」
「そう言う貴殿は」
「はじめまして、えりなの父だ」
彼はまずはこう言った。
「薙切薊という」
「そうなのか」
「以後宜しく頼む」
「お兄様もおられると聞いたけれど」
えりなは周りを見回して言った。
「一体」
「というかお兄さんいたの」
「はい、この人が作っていました」
ステラに父を指差しつつジト目で答えた。
「結婚前に」
「そうだったの」
「確か十代の時に」
「中々凄い人ね」
「あの時は色々あった」
薙切薊は笑って述べた。
「思えばな」
「いや、話聞いていたら充分過ぎる程」
ステラは彼を見つつ言った。
「今もね」
「色々あったというのだね」
「あたしや一輝のお父さんみたいにね」
「そういえばこの人似てるね」
「はい、切り捨てたくなります」
「不快な声だ」
一輝に球雫と王馬が続いた。
「俺はこの声が嫌いだ」
「何時か後ろからと思っています」
「まあ二人共落ち着いてね」
「というか三人の父親って嫌われ過ぎだろ」
啓太はこのことに驚いた。
「どんな父親なんだ」
「最低の父親です」
珠雫は本気の声で答えた。
「まさに」
「話は聞いてたけれど本当に嫌いなんだな」
「憎んでいます」
やはり本気の声だった。
「心の底から」
「そうなんだな」
「何時かこの手で」
珠雫はこうも言った。
「そうも考えています」
「自分の娘にこう思われている親って凄いわね」
さしものようこも唖然となって言った。
「一輝達の親子関係のことは聞いていたけれど」
「今あらためて思ったな」
「本当にね」
「その時は手を貸すわ」
「言って下さい」
レムとラムはすぐに珠雫にそう述べた。
「何かそのうち死にそうですが」
「そんな気がするけれど」
「それでもです」
「必要なら言ってね」
「正直言って公の場では謹厳ですが清廉な人でして」
白夜は組織人としての彼の話をした。
「問題はないのですが」
「家庭人としては知らないから」
キリコも言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ