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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第78話 作戦と事業
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うじてその悪名を一人の英雄が救ったわけだが、英雄を作り喧伝しなければならないほどに、軍は強く批判されていた。その軍が帰還事業に関わるような話となると、色々と面倒ごとを『責任をとれ』と言わんばかりに押し付けてくる可能性が高い。

 爺様は帰還事業における軍の関与についてあくまでも『帰還船団の護衛』のみ行うよう俺に指示している。戦場整理も軽度のインフラ整備も一応は済ませてある。宇宙港も使用可能な状況なのだから、もうこれ以上軍が口をはさむようなことはすべきではない。統合作戦本部も宇宙艦隊司令部も勿論そう思っているからこそ、この帰還事業においてはハイネセンにおける『仮設都市』の建設やそのインフラ維持にのみ関与していたにすぎない。

 だから俺は(事実上は作戦行動における移動ではあるが)帰還船団の護衛計画だけでなく、帰還船団の船舶調達補助、軍事航路優先運航権・同運航計画、帰還船団に対する軍燃料の無償貸与まで考えて計画し、幾つかの関連部署への連絡やリーガルチェックを行った上で、第八艦隊司令部にアポイントを取った。既にダゴン星域における作戦立案に入っている司令部の幕僚達の反応は悪かったが、俺が求めていることがそちらの作戦立案にあまり関係ないと分かったのですんなりと了解が取れた。

「そういうわけで、ヤン。面倒だし引きずり出されるのは嫌なのは承知しているが、どうか協力して欲しい」

 珈琲と紅茶が置かれた白い合板のテーブルを挟んで、俺は呆れた顔をして目の前に座る、英雄様に頭を下げるのだった。

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