第三章
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「ここまで大きくなってもらってな」
「そうね」
妻は夫の言葉に笑顔で答えた。
「よかったわ」
「そうだな、しかしな」
ここまで聞いてだ、夫は言った。
「性格は随分違うな」
「そのオスカーって子とね」
「ラッセルはな」
「ラッセルときたら」
「カア」
「ワン」
「ワンワン」
二匹の茶色と白の雄のブルドッグ達のところに来てちょっかいをかけてきた、犬達はそんな彼に一緒に対抗している。
「チャンクとヨーギーにね」
「いつもちょっかいかけてな」
「家の中でいつも自分が一番」
「やんちゃでな」
「そんな子だからね」
「カナダの方の子と随分違うな」
同じ烏でもというのだ。
「そうだな」
「そうよね」
「ああ、けれどな」
それでもとだ、夫は妻に笑って話した。
「愛嬌があってな」
「茶目っ気もあってね」
「悪くないな」
「そうよね」
「だからラッセルともな」
「いつも一緒にいましょう」
「これからもな、それとな」
夫は妻に何時しか犬達と仲良く遊んでいるラッセルを見つつ話した。
「俺の一時解雇もそろそろな」
「どうなるの?」
「終わるよ」
そうなるというのだ。
「だからまたな」
「働いていけるのね」
「ああ、これからはラッセルとチャンクにヨーギとな」
「私とね」
「一緒に暮らしてな」
「お仕事も頑張るのね」
「そうするな、一時解雇で時間があったからラッセルを育てられたが」
それでもと言うのだった。
「これからはな」
「働きながらね」
「もう二十分ごとに餌をやる必要もなくなったし」
育ったからであるのは言うまでもない。
「それじゃあな」
「これからはね」
「そうして一緒に過ごしていこうな」
妻に笑顔で言った、そうしてだった。
ラッセルと二匹のブルドッグにご飯をあげた、そうしながら幸せを感じていた。烏もいる生活のそれを。
救われた烏の雛達 完
2022・8・28
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