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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第123話:夏の日差しの下で
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ウィズは奏達と合流する前、世界中を飛び回り活動していた。その最中に彼らは、サバトを行おうとしたジェネシスと何度も対峙してきた。フォトスフィアの中で線が交錯している場所の中には、アルドが覚えている限りでそうしたサバトが行われそうになっていた、あるいは行われてしまった場所と被る点が多数存在していたのだ。
アルドの話を聞いて、朔也と慎二は改めてフォトスフィアをまじまじと見る。これが一体何なのかと考えを巡らせながら。
その後、慎二は無事に調査データを受領し、翼に仕事が済んだ事とあちらの様子を訊ねた。
「調査データの受領、完了しました。そちらの特訓は進んでいますか?」
『くっ! なかなかどうして、タフなメニューの連続です!』
「?」
通信機の向こうからは、翼の何処か息の上がった声が聞こえてくる。ビーチで何が行われているかは慎二ももちろん知っているので、その割にはどこか辛そうな翼の声に違和感を感じずにはいられなかった。
そのビーチで今何が行われているかと言うと――――――
***
「後でまた連絡します! 詳しい話はその時に!」
早々に通信を切った翼の前には、ネットを挟んで対峙するマリアとエルフナインの姿がある。そして翼の後ろには、腰を落として構えを取るクリスが居た。
颯人は奏と並んでその様子……ビーチバレーをジュースを飲みながら眺めていた。
「タフなメニューって……」
「ま、何事にも全力な翼にとっちゃ、ただの遊びも立派なトレーニングなんだろうさ」
「ぶっ倒れないかね?」
「大丈夫だろ? 何だかんだ翼も肩の力の抜き方は理解してるよ」
常々翼は奏に固いだの何だの言われていた。故に昔に比べれば、翼は考えも表情も大分柔らかくなったと言えるだろう。
「オラオラァ! バッチコーイ!!」
翼の後ろでは、クリスが気合の入った声でマリアとエルフナインを捲し立てている。愛しの透が見ている前で、無様は晒せないと意気込んでいた。それがまた翼を本気にさせている要因となっているのだろう。
現在ボールはマリア・エルフナインサイドが持ち、エルフナインがサーブの為上に向けてボールを放った。そしてその後から続く様にジャンプし、ボールをネットの向こう側へ右手を振りかぶった。
「それ!…………あれ?」
しかしフォーム自体は完璧だったのに、右手は空振りしボールと一緒に砂浜に落下してしまった。
落下の勢いで転がったボールをマリアがキャッチし、蹲ったエルフナインに近付いていく。
「何でだろう? 強いサーブを打つ為の知識はあるのですが……」
何故自分が失敗したのかが分からず困惑するエルフナイン。
颯人はその様子をどこか懐かしむ様に見ていた。
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