残骸と悪夢
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でにあの巨体は、雨雲の向こう側へその姿を消している。
あれが聖杯戦争とどう関係しているのか、ハルトには分からない。だが、見滝原の外に出られる者であれば、尚更危険であろう。
だが、目の前のコウスケを放っても置けない。
ハルトはコウスケを背負おうと身をかがめ、腕を掴む。
だがコウスケは、そんなハルトを突き飛ばした。
「オレのことはいい……! それより、奴を追え!」
「でも……」
「いいから行け!」
コウスケはハルトの襟首を掴みながら怒鳴った。
「アイツをこのまま野放しにしておくのはまずいだろ!」
「……去年の中学校の時とは違う。今のお前を放っては……」
「皆まで言うなよ」
コウスケが白い歯を見せる。
額から流れる血が、彼の歯を赤く染めており、それだけでその爽やかな印象が大きく変わって来る。
「……分かったよ……! せめて、安全なところまで運ぶからな」
ハルトはコウスケを背負い、マンションの瓦礫の山から川へ向かって降りていく。
川岸の公園。雨の影響で誰もいない野球場、そのベンチにコウスケを寝かせた。
「奴を倒したら、すぐに戻って来るからな。待っていてよ」
「皆まで言うな。幸い雨だ。この血を洗い流したら、一人で帰るぜ」
「……何かあったら、すぐに連絡してよ」」
ハルトはコウスケに念を押し、指輪を発動させた。
『コネクト プリーズ』
発動する魔法陣。
同時に全身を痛みが襲うが、それでも無理矢理その手を魔法陣に突っ込む。崩壊したマンションのすぐ近くに停車してあったマシンウィンガーを引っ張り出し、すぐに跨る。
そのまま、アクセルを入れるハルト。
後ろ髪を引かれる思いを感じながら、ハルトは騒ぎが大きい方へと急いでいった。
「やべえ……割と真面目に頭がボーっとしてきた……」
ハルトを見送ったコウスケは、ベンチで横になりながら、額に手のひらを当てた。
「悪ぃ響……あの化け物を止めてくれ……!」
もう立つことさえままならない。
雨に流れていく血の味を感じながら、コウスケはその右手を持ち上げた。
「令呪を使うぜ……オレはこれ以上、もう戦えそうにねえ……」
三画の令呪。
ムーと呼ばれる太古の遺跡で一回使い。
そして、今回。
残り二回の命令権、その内一回が行使された。
同時刻。
「何あれ……!?」
ラビットハウスを飛び出した可奈美。
誰も彼もが騒ぎ立て、上空を見上げている。そして、その巨大さ、全身から体にひりつくその禍々しさに、誰もが恐怖を浮かべている。
上空を泳ぐ、虹色の怪物。翼が不自然なまでに揺らめき、それが飛行能力を備えているとは思えない。
一度空高く
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