第二章
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バスに乗っていると一匹のチャトラの猫が来た、同じチャトラだったのでタビー=ブーを思い出したが。
その猫が高齢なのを見てしかもここはイギリスなのですぐに違うとわかった。
「そんな筈ないか」
「何がそんな筈なの?」
彼の言葉を聞いた隣の席のセットした赤髪に青い目の中年の太った女性が聞いてきた。
「一体」
「いや、実は」
イマイはその女性に自分とニューヨークのことを話した、するとだった。
女性はまずは頷いてそれから言った。
「アメリカでも同じことがあったのね」
「猫がバスに乘るとかね」
「あるのね、あの子は雄でドジャーって言うのよ」
「いい名前だね」
「飼い主さんが芸術家にちなんで名付けたのよ」
「そうなんだね」
「十五歳の雄よ」
女性は年齢と性別の話もした。
「毎日お散歩に出五十マイル歩いて」
「お年寄りの猫にしては随分歩くね」
「元気なの。それで帰りはね」
「バスで帰ってるんだ」
「毎日ね、最初は飼い主さんも探していたけれど」
「外に出て」
「そうだったけれど」
それがというのだ。
「今はね」
「ああしてだね」
「ちゃんとバスで帰って来るから」
「心配はしていないんだ」
「頭がいいのよ」
実にというのだ。
「バスを利用するまでね。もう運転手さんも私達もわかっているから」
乗客達もというのだ。
「笑顔で見ているのよ」
「癒されてるのかな」
「その通りよ」
女性は笑顔で話した、そしてだった。
猫はあるバス停に着くと自分から降りた、そのうえでバス停で待っていた茶色の短い髪の毛の女性に笑顔で迎えられた。
「ドジャーお帰り」
「ニャオン」
猫は飼い主に抱かれて去っていった、女性はその光景を見てからまたイマイに話した。
「あのバス停のご近所のフィー=ジーンズさんよ」
「ドジャーの飼い主さんだな」
「そうよ、毎日ああしてね」
「ドジャーを迎えてるんだな」
「そうよ、いい家族でしょ」
「そうだね、イギリスでもああした猫を見られて」
イマイは笑顔で話した。
「よかったよ」
「それは何よりね」
「また旅行に行ったらああした猫を見たいよ」
笑顔のまま言った、そうして幸せに旅行を続けた。猫のことをいつも頭に置いて。
バスに乗って飼い主のところへ 完
2022・8・27
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