第一章
[2]次話
戦禍の中の愛情
戦禍に苦しめられているウクライナで辛い思いをしているのは人間だけではなかった。
動物の保護活動をしているヤロスラフ=ルーツィシン金髪をウクライナ伝統の髪型でまとめているライトブルーの目に雪の様な肌を持っている彼女はスタッフに今お保護した三匹の白と黒と茶の子犬と茶のサビ猫と黒、チャトラ、黒い虎毛の子猫達を見せて話した。
「今さっき保護してきたのよ」
「どの子もですか」
「ええ、瓦礫の中にいたのよ」
こうスタッフに話した。
「どの子もね」
「合わせて七匹もですか」
「そうなの、瓦礫の山なんてね」
ルーツィシンはスタッフに苦い顔で話した。
「今のウクライナじゃ何処でもあるわね」
「はい、戦争のせいで」
スタッフも苦い顔で答えた。
「そうなっていますね」
「それで人も大変でね」
「生きものもですね」
「そうよ、いいことなんてね」
それこそというのだ。
「今のウクライナではね」
「ないですね」
「そう言っていいわ、けれどこれはいいことよ」
「七匹も助かったことが」
「それだけじゃないの」
ここでルーツィシンは笑顔になって話した。
「最初はワンちゃん達だけだったのよ」
「この子達だけだったんですか」
「そうよ」
「クゥ〜〜ン」
「クンクン」
「クゥン」
三匹は身を寄せ合っている、ルーツィシンは彼等を見つつ話した。
「三匹共雄で兄弟みたいよ」
「色は違いますがそっくりですね」
「その子達がね」
スタッフにさらに話した。
「こうして身を寄せ合っていたのよ」
「瓦礫のところで」
「そうしていてね」
それでというのだ。
「保護しようとしたら」
「そこで、ですか」
「後ろにこの子達がいたのよ」
三匹の子猫達を指差した、見ればだ。
一緒に母猫の乳を吸っている、その猫達を見て言うのだった。
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