第一章
[2]次話
カバを育てて
南アフリカのリンポポ州に住むジュベール夫妻はこの時自宅の傍にあるブライド川のほとりを散歩していた。二人共初老で痩せていて夫は白髪で妻は黒髪だ。二人共白人え夫はトニー妻はシャーリーという。
そこでだ、妻はふと茂みを見て夫に言った。
「カバの赤ちゃんがいるわよ」
「そうだな」
夫は妻が指差した方を見て言った。
「あそこにな」
「まだ生まれたばかりみたいね」
妻はまだ赤ん坊のカバを見つつ言った。
「どうも」
「まだ立つことも出来ないな」
「お臍の緒もあるし」
「親とはぐれたか?」
「産まれてすぐに?」
「そうか?しかしこのままだと駄目だ」
産まれてすぐだ、猛獣と言われるカバでもその時は弱い。
「保護しようか」
「それがいいわね」
妻は夫の言葉に頷いた、そうしてだった。
二人はカバの赤ん坊を拾って家に入れて家族にした、雌だったのでジャシカと名付けて育てていったが。
ジェシカはすくすくと育った、林檎ジュースが大好きでごくごくと飲んでだった。
家のパピー、ピパー、ロン、ジャック、メリーの五匹のイングリッシュブリテリア達と仲良しになった。
「ガフウ」
「ワン」
「ワンワン」
「ワフッ」
「ワフウ」
「ワオン」
五匹はジェシカの周りにいつもいて一緒に遊ぶ、彼女は家の中を自由に出入りし夜になると家の傍の川に入って休むが。
何時しかだ、近所の人達にも知られてだった。
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