第二章
[8]前話
「ふわりは観てたのか?」
「あんなの誰が観ても面白くないでしょ」
母が言ってきた。
「もうね」
「それもそうか」
「もうただどうでもいいタレント集めて作ってるだけの」
「やる気も何もないな」
「放送時間埋めるだけの番組だから」
その様なものだからだというのだ。
「もうね」
「犬が観てもか」
「面白くないだろ」
「俺達がここにいて話してたからだろ」
父も言ってきた。
「それで気になってな」
「来ただけか」
「それも不機嫌に言ってたしな」
「心配になったか」
「そうだろ、ふわりに心配かけたな」
洋介は苦い顔で述べた。
「悪いことしたな」
「そうだな、じゃあもうな」
「ああ、犬に心配かけることもな」
「よくないな」
「だからな」
それでというのだ。
「もうあんな下らない番組を観てもな」
「あれこれ言わないでか」
「あっさり消してな」
そうしてというのだ。
「終わろうな」
「そうするか」
「ああ、考えてみたら言う価値もない」
下らないだのあれこれというのだ。
「もうな」
「そんな番組だったな」
「それよりもふわりを心配させないことだ」
「その方がずっと大事だな」
「ああ、本当にな」
こう話してだった。
文太はふわりの頭を撫でた、ちょこんと座っている彼女にそうして微笑んで優しい声で話したのだった。
「心配かけて悪かったな」
「ワン」
ふわりは何でもない感じだった、どうやら心配はしておらず気になって来ただけだったらしかった。
むしろ頭を撫でられて喜んでいた、一家はそんな彼女を見て笑顔になった。そしてもう下らない番組は無言で切っていった。
下らない番組と犬 完
2022・8・25
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