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八条学園騒動記
第六百六十八話 敵は必ず敗れるその三

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「如何なる時も戦えていて目的を果たすのならな」
「強いですか」
「まことの弱兵は敵を前にして逃げ出し」
 そうしてというのだ。
「どれだけいても守れぬ」
「そうした軍隊ですか」
「中国の宋の頃の軍隊は弱かった」
 博士は自分が見てきたものを話した。
「都である東京開封を八万の兵で守れなかった」
「ああ、金に攻められた時に」
「わしはあの時宋の兵力と装備ならな」
 この二つがあればというのだ。
「そして仕組みもな」
「軍事システムですね」
「宋のあれは整っておった」
 当時の人類社会で最もそうだと言ってよかった、中国の高度の官僚システムが軍にも反映されたと言える。そこに創業の頃に軍が叛乱を起こさない様に叡智を尽くしたのだ。
「非常にな」
「けれどですね」
「わしはまあ大丈夫だと思っておった」
「宋は都を守れていましたか」
「充分な、しかしな」 
 それでもというのだ。
「宋は負けてじゃ」
「都を陥落させられたんでしたね」
「それで多くの領土を失ってじゃ」
 そうしてというのだ。
「長江流域に基盤を移した」
「南宋ですね」
「あの王朝の軍隊こそな」
「真の弱兵ですか」
「叛乱を起こさせなかったが」
 軍閥の発生を抑える様にしてだ。
「しかしな」
「軍自体はですね」
「わしも呆れるまでに弱かった」
「今の連合軍とは違うんですね」
「碌でもない連中を兵にしてな」
 これは長い間中国の問題の一つであった、兵になる者は質の悪い者達を無理に入れた場合が多かったのだ。
「そして訓練もな」
「まともじゃないですか」
「それで統率もじゃ」
 これもというのだ。
「まともにな」
「していなかったんですね」
「だからな」
 それでというのだ。
「とんでもなく弱かった」
「そうでしたか」
「梁山泊の話もな」
 水滸伝のそれもというのだ。
「あれは好漢達とあの者達の手勢も強かったが」
「それと共にですね」
「宋軍が弱かったからな」 
 このこともあってというのだ。
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