第三十二話 泳いだ後でその十六
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「とてもね」
「そうした人ですか」
「氷の美女と言われてるらしいけれど」
「表情もなくて」
「どうしてロシア人に表情がないか」
「寒くてですよね」
かな恵も知っていて応えられた。
「だからですよね」
「顔も凍ってね」
「それで表情がないだけですね」
「それだけ寒いってことよ」
ロシアはというのだ。
「睫毛も息も凍るから」
「ロシアではそうらしいですね」
「もうサンクトペテルブルグ位になると」
それこそというのだ。
「北極圏と言っていいから」
「本当にそうなりますね」
「そうなるからね」
だからだというのだ。
「表情がなくなることも」
「あるんですね」
「そうよ、けれど心はね」
「凍っていないですね」
「むしろ暖かいのよ」
ロシア人のそれはというのだ。
「そうなのよ」
「それがロシア人ですね」
「そうよ」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「日本人のサイズってやっぱり」
かな恵に小声で尋ねた。
「他の国の人も」
「小さいですか」
「聞いたことがあるけれど」
「そうなんでしょうか」
かな恵はよくわからないという返事であった、実際に自分の弟のものでも見たのは子供の頃で今の状況は知らないのだ。
「やっぱり」
「貴女も知らないの」
「だって見たことないですから」
「だからなの」
「そうです、ですから」
その為にというのだ。
「実物見たことなんて」
「ないの」
「子供の頃ですよ」
まさにというのだ。
「お風呂だってお母さんに入れてもらいましたし」
「子供の頃ね」
「そうですから」
「それでなのね」
「弟いますけれど」
実際に話した。
「見たことないですよ、子供の頃以来です」
「そうなのね」
「成長しますよね」
その部分もというのだ。
「そうですよね」
「身体が大きくなるとね」
「あちらもですね」
「そうなるわよね」
「それじゃあですよ」
まさにとだ、先輩に話した。
「今は」
「大きくなっているわね」
「ですが見たことないですから」
「言えないのね」
「はい、そうした漫画とかなら読んだことあっても」
それでもという口調での言葉だった。
「読んでであって」
「見てはいないのね」
「はい、だから言えないです」
「そうなのね」
「ロシア人が大きいということも」
このこともというのだ。
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