第三十二話 泳いだ後でその十五
[8]前話 [2]次話
「そうだったんですね」
「だからいい品はね」
「出来なかったんですね」
「食べもののお店に行っても笑顔がなかったのよ」
「スマイルなしですね」
「いらっしゃいませの笑顔がね」
それがというのだ。
「なかったのよ」
「マクドナルドのスマイルがですか」
「だからマクドナルド大人気だったのよ」
ソ連時代の末期にモスクワで営業が開始されるとその瞬間に行列が出来る程であったのだ。これも歴史にあることだ。
「ただ作ってね」
「出すだけだったんですか」
「それで味もね」
こちらもというのだ。
「お世辞にもだったのよ」
「そうですか」
「しかものんびりしてるしね」
ロシア人はというのだ。
「中々ね」
「ものがよくならないんですか」
「日本と比べたら困るって言う人もいるかも知れないけれど」
それでもというのだ。
「そうしたお国柄でね」
「日本のコンドームのよさがですか」
「素敵に思えるわ、ただね」
「ただ?」
「こののんびりしたおおらかで素朴で無欲で真面目で」
今度はロシア人の長所も話した。
「親切なのがロシア人の美徳でロシア最大の財産ってね」
「言われてるんですか」
「私はそう思うわ」
「そうですか、そういえば」
かな恵はここで言った。
「三年生のトルストヤさんも」
「あの銀髪の」
「外見は近寄り難いですが」
「実は凄くいい人なの」
「あの人もですね」
「お嬢様で穏やかで」
素顔の彼女はというのだ。
「やっぱり無欲で親切よ」
「そうした人なんですね」
「銀髪でクールな外見だから」
それでというのだ。
「冷たい人に思われても」
「違うんですね」
「いい人だから」
「安心していいんですね」
「ええ、ただ近寄り難い雰囲気はね」
これはというのだ。
「あるわね」
「あの人は」
「授業中は一切笑わないそうだし」
エカチェリーナ=イヴァノヴァ=トルストヤ彼女はというのだ。
「余計にね」
「近寄りにくいですか」
「そうした雰囲気はね」
「あるんですね」
「ええ、ただね」
それでもというのだ。
「そうした人ということはね」
「知っておくことですね」
「そうしてくれたら」
それならというのだ。
「私も嬉しいわ」
「そうですか」
「そうよ、一見冷たくても」
「違うんですね」
「優しいのよ」
彼女はというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ