触手の猛攻
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じく踏み荒らされていた。
色とりどりの家具だったのであろう物体が、これまた同じく原型を残さないほどに破壊されている。割れた窓から差し込む夕日が、部屋の惨状をより一層際立たせていた。
そして、なにより。
部屋の主と思しきミイラもまた、木材だったものの下敷きとなっていた。
「……っ!」
ウィザード仮面の下で唇を噛み、今落とされてきた天井を見上げた。
ビーストが戦っている階から、トンネルのように開けられた穴。そこから見える部屋には、どれ一つとして無事だと思える部屋が見つからない。
おそらく、他の部屋もここと同じく、犠牲になっているのだろう。
その時。
「ワン! ワン!」
「うわっ! い、犬!?」
ウィザードの足元で、吠える愛玩動物の姿。
柴犬が、ウィザードへ唸り声を上げながら、ミイラの足元にその姿を現したのだ。
「数少ない……生存者か」
ウィザードは犬に接近する。
だが、犬はその場から動かない。何度も何度も、すぐ背後で倒れているミイラ___おそらく飼い主___を守ろうとしていた。
「っ!」
そして、ウィザードを追いかけて、それは現れる。
触手。
筋肉質の塊は、ウィザードを突き飛ばし、無力な餌へ放たれた。
「やめろぉ!」
ウィザードは叫ぶが、もう間に合わない。
犬に巻き付いた触手の先端が、犬の体に突き刺さる。犬が悲鳴を上げると、ぐったりとその体から力が抜けた。
「っ!」
ウィザードが、仮面の下で顔を歪ませた。
ウィザードの前に落ちてきた、犬だったもの。白と茶色の愛らしい色合いは、生気のない黒一色となっていたのだ。
「そんな……」
犬の体液を吸収しきった触手は、そのまま天井に空いた穴から戻っていく。
「待て!」
ウィザードはジャンプして、触手を追いかける。
土から風となったウィザードは、ジャンプで数フロアを飛び上がり、ビーストが戦う七階に戻って来た。
「はああっ!」
着地と同時に、ウィザードは触手を斬り弾く。
だが、ウィザードとビーストの攻撃に対して、触手たちの攻撃能力は下がることがない。
「埒が明かねえ! ハルト! 一気に決めるぞ!」
ビーストの合図に、ウィザードは右手の指輪を入れ替える。
ウィザードが指輪をベルトに読み込ませるのと同時に、ビーストも変身の時に使った指輪を再びソケットに装填していた。
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
『ゴー キックストライク』
そして発動する、それぞれの最強の魔法。
そのまま、両者の右足に宿る風と獣の力。
それは、群がる触手を弾き飛ばし、爆発させる。
爆炎が晴れたころには、もう、触手の姿
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